IMF「韓国高齢層、金融危機レベルの住宅価格下落時には大打撃」

 国際通貨基金(IMF)が韓国の家計債務のうち、とりわけ高齢層のぜい弱性を警告した。

 韓国金融委員会によると、IMFは金融部門評価プログラム(FSAP=Financial Sector Assessment Program)の結果報告書で「2008年の世界的な金融危機に準じる住宅価格下落の衝撃などが発生した場合、高齢層のローン利用者のぜい弱性が高い」と評価した。

 IMFは韓国の金融システムが世界的な金融危機に次ぐストレス状況でも全般的な復元力(overall resilient)を備えていると評価したものの、低金利・低成長、人口高齢化、フィンテックの発展などによる金融市場の競争激化などからみて、一部分野に対する緊密なモニタリングが求められるとした。

 まず指摘されたのは、高齢者のローン利用者のぜい弱性だ。60代以上の家計債務は全体よりも急速に増加している。2019年の家計債務は1621兆ウォン(約142兆円)で、13年の1053兆ウォンに比べ54%増加した。同じ期間に60代以上の家計債務は162兆ウォンから296兆ウォンへと83%急増した。これにより、60代以上のローン利用者が家計債務に占める割合は15%から18%に上昇した。

 金融機関を見ると、低金利の長期化で生命保険会社の営業利益が中長期的に影響を受けるとみられる。国民年金は現在の傾向が続けば、2057年には基金が底を突くとみられるため、対策が求められるとした。IMFは「金融の安定性を最優先目標とする協議体をつくり、そうしたリスクを管理すべきだ」と提言した。

 同時に銀行が破綻した場合、持ち分に応じた損失を債権者に負担させる「債権者損失分担制度(ベールイン)」の導入も勧告した。これについて、金融委は「金融市場への波及効果などを考慮すると、ベールインの導入には慎重な状況だ」としている。IMFは大型銀行の再建計画(RRP=Recovery and Resolution Plan)を取りまとめることも求めた。米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻のように、再建計画がない大手銀行が破綻した場合、大きな混乱を生むため、体系的に会社を整理する計画をあらかじめ立てることを求めたものだ。しかし、これも国会で立法が必要となるため、論議が必要な状況だ。

 持ち株会社制を取らない金融グループの監督については、法的根拠を設け、監督を強化する必要性を強調した。資本市場や金融製品の不適切な販売などについても監督強化を求めた。

 FSAPはアジア通貨危機直後の1999年に導入され、2008年の世界的な金融危機を契機にシステム的に重要は29カ国に対する定期評価を義務付けた。韓国は米国、英国、ドイツ、シンガポールなどと並び、評価対象に含まれている。2003年と14年に続く3回目の評価となる。

崔炯碩(チェ・ヒョンソク).記者
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