【朝鮮日報社説】「検察・メディア癒着」のでっち上げ疑惑はなぜ捜査しないのか

 秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官はいわゆる「検察・メディア癒着疑惑」に関連し、韓東勲(ハン・ドンフン)釜山高検次長(検事長)を法務研修院に左遷した。「チョ・グク元法務部長官の不正疑惑」「柳在洙(ユ・ジェス)事件」を捜査したとして、今年1月に大検察庁反腐敗部長から高検次長に異動させられて以降、2度目の左遷人事だ。秋長官は韓検事長を法務部が直接監察するとも発言した。

 今回の事件はチャンネルA記者が刑務所に収監されていたバイオテクノロジー企業、シルラジェン(SILLAJEN)の元大株主に与党に対するロビー活動について語るように要求した際、自身が韓検事長をよく知っているかのような通話内容を提示したものだ。韓検事長が記者と組んで圧力をかけたというのが事件の構図とされた。しかし、2人の聞き取り記録によれば、韓検事長が「自分は(与党ロビーには)関心がない」と発言した部分もあるという。だとすれば、検察とメディアの癒着が成立しない。このため、検察内部でも韓検事長だけでなく、記者への処罰も難しいとみて、専門捜査諮問団による検証手続きが進められている。大検察庁幹部と指揮部門の検事の大多数が下した結論だ。

 むしろ、今回の事件は尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長と韓検事長を攻撃するため、事案を膨らませてでっち上げたものではないかとする疑惑が指摘されている。検察にも告発がなされている。実際に与党の比例代表政党の代表はチャンネルA記者が話してもいないことを虚偽ででっち上げた。その党の最高委員は事件が浮上したころ、党代表と「2人で作戦に入る」と発言していた。どんな「作戦」だというのか。最高委員は今度は事件をMBCに持ち込んだ情報提供者の弁護に立った。

 情報提供者は詐欺の前歴が複数ある与党支持者と判明した。チャンネルA記者が「取材をやめる」と言っても、大規模な不正の情報提供でもあったかのように引っ張り続け、MBCは情報提供者の一方的な主張を検証もせずに報じた。大統領の大学の後輩が指揮するソウル中央地検の捜査チームはチャンネルAと韓検事長については家宅捜索をしておいて、MBCと情報提供者は事実上放置している。これら全ての事柄が計画された「作戦」であり、チョ・グク元法務部長官に対する捜査の報復なのではなかろうか。

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