6・25戦争の韓国軍捕虜、金正恩氏を相手取り勝訴

北朝鮮で強制労働に服し脱北した二人
一審で裁判所は2100万ウォンの賠償命令

 6・25戦争当時、北朝鮮に連行され、強制労働をさせられた元韓国軍捕虜のノ・サホンさん(91)とハン・ジェボクさん(86)が北朝鮮政府と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で勝訴した。韓国の裁判所が北朝鮮と金正恩氏に対し、損害賠償の責任があると認めた初の判決だ。これによって別の韓国軍捕虜、拉致被害者なども同じ訴えを起こすものとみられる。

 ソウル中央地裁民事47単独のキム・ヨンア裁判長は7日、二人が起こした損害賠償請求訴訟で、北朝鮮と金委員長に対し、ノ氏とハン氏にそれぞれ2100万ウォン(約190万円)の支払いを命じる判決を下した。

 二人は6・25戦争に参戦した際に捕虜となり、1953年から33カ月にわたり平安南道江東郡の炭鉱で作業に従事。その後2001年に脱北し韓国に戻った。二人は強制労働に対する慰謝料の支払いを求め、2016年10月にソウル中央地裁に訴えを起こした。

 裁判では北朝鮮の法的性格が争点になった。韓国の国内法上、北朝鮮は「国家」ではなく「反国家不法団体」だ。裁判長は北朝鮮について「非法人社団」と規定し、損害賠償責任義務があると判断した。金正恩氏については「違法行為は金日成(キム・イルソン)の在任中に発生したが、実質的かつ法律的な代表者であり違法行為者である金日成・金正日(キム・ジョンイル)の相続者として連帯責任がある」と判断した。原告の弁護に当たった金炫(キム・ヒョン)元大韓弁護士協会会長は「北朝鮮が韓国の法廷で民事責任があることを示す里程標的な判決」と評した。

 弁護人団は国内にある北朝鮮の資産を差し押さえ、賠償金を支払わせる計画を発表した。国内の放送局や出版社などが北朝鮮の朝鮮中央テレビの映像、出版物を使用して得た著作権料がその対象になる。南北経済文化協力財団は2004年からこれらの資金を北朝鮮に送金してきたが、金剛山観光客狙撃事件の影響で著作権料の送金が禁じられ、08年から今年5月までおよそ20億ウォン(約1億8000万円)が裁判所に供託されている。

キム・アサ記者
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