【朝鮮日報コラム】「MeToo第1号」の選択的な怒り

【朝鮮日報コラム】「MeToo第1号」の選択的な怒り

 韓国社会で最も男性中心的な組織と言われる検察で、「MeToo(性暴力被害の告発)」運動のたいまつを掲げ、女性の人権について勇敢にも声を上げたのが徐志賢(ソ・ジヒョン)検事だ。組織内で反感を買うという危険を冒して上司のわいせつ行為・セクハラ(性的嫌がらせ)を暴露し、その後も女性の人権や性犯罪に関して声を上げ続けてきた。訴状だけで発言するという、検事としては異例の活動だった。

 昨年3月に歌手チョン・ジュニョンらの集団性暴力事件が発生すると、徐志賢検事は「進歩とは何なのか。強者たちが力で弱者たちを抑圧するのを断ち切ろうということではないか。これはフェミニズムでも過激主義でもない。ただ、犯罪者を処罰しようということだ」と強調した。今年3月、「今年の女性運動賞」を受賞した時は、「私には夢があります。MeTooが広がっていく世界ではなく、MeTooがなくなる世界で暮らすことです」とも言った。

 秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官は今年1月、異例なことに徐志賢検事を男女平等政策特別諮問官に任命した。今年3月には韓国最大規模の性搾取事件「n番部屋事件」対応のためのタスクフォース(TF=作業部会)対外協力チーム長にも任命した。徐志賢検事は今月初め、児童ポルノサイト運営者で懲役刑を言い渡され、服役したソン・ジョンウ氏に対して、韓国の裁判所が米国送還を許可しないとの決定を下すと、「権威的なでたらめ」と一喝した。異例の活動が続いたことから、徐志賢検事に対して「もしかしたら、政治家になろうとしているのではないのか」という疑問の声が絶えなかった。それに憤りを感じたのか、徐志賢検事は昨年の記者会見で、「政治家になる考えはない。なぜ被害者がこのような2次被害を受けなければならないのか」と言った。

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