金於俊が「マスコミ・検察ウイルス」と闘う義兵隊長?

有名ギャラリー「ハクコジェ」の展示会で物議

 与党寄りのテレビ局関係者である金於俊(キム・オジュン)氏をマスコミ・検察といったウイルスと闘う偽兵隊員として描写した肖像画と、北朝鮮を批判するチラシがウイルスとして表現された北朝鮮のナンバー2であるキム・ヨジョン氏の肖像画が、有名な商業ギャラリーに展示され、論議を呼んでいる。

 同絵画は、時事漫画家のパク・チェドン氏(68)が描いたもので、ソウル市鍾路区昭格洞のギャラリー「ハクコジェ」で7月1日から1カ月間にわたって開催される「現実と発言」40周年記念展への出品作だ。キム・ジョンホン、イム・オクサンら1980年代の民衆美術同人「現実と発言」のメンバー16人の作品が出品されたが、特にパク・チェドン氏が制作した肖像画は現実を歪曲(わいきょく)している恐れがあり、適切ではないと批判する声が寄せられていた。ある美術界の関係者は「表現の自由は尊重されるべきだが、芸術性に代わり『スキャンダリズム』に傾くのは問題」と述べている。

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 問題の肖像画のタイトルは、全て「ウイルス」だ。コロナ禍を連想させ、人物の背景にはウイルスが漂う様子を形象化した。マイクをナイフのように背負った金於俊氏の後ろにはオレンジや黄色のウイルス、少女漫画の女性主人公のように美化された北朝鮮のキム・ヨジョン氏の後ろには金正恩(キム・ジョンウン)が描かれたビラがなびくといった具合だ。17日、展示場で出会ったパク氏は「マイクでメディアや検察といったウイルスと闘う義兵隊長として金於俊氏を描いた」とし「北朝鮮のキム・ヨジョン氏には対北ビラがウイルスのように感じられるだろうと思って描いてみた」と説明した。本物のウイルスと闘うチョン・ウンギョン疾病管理本部長の肖像画も、二つの絵の間に掲げられている。絵画の値段はそれぞれ400万ウォン(約35万円)だ。

 話題の人物を通じて時局を表現するのが意図だというが、論議の余地は大きい。金於俊氏は、現政権に有利な偏った見解の持ち主で、陰謀論を口にするという点でよく批判される放送人である上、キム・ヨジョン氏は先月、ビラ散布と関連して韓国を激しく非難。南北共同連絡事務所の爆破を指示するなど、板門店宣言を破棄した張本人だからだ。その上、むしろ彼らをけん制するマスコミや司法部、脱北民団体の活動をウイルスとさげすんでいる。パク氏は「絵画を見て嫌な思いをする人は当然いるだろう」とし「現実を明らかにしたかっただけ」と話した。

 パク・チェドン氏は2018年、「#MeToo(ミートゥー)」運動の暴露に巻き込まれ、対外活動を休止してきた。ギャラリー側は「法的な最終判断が下されていないため、参加に問題はない」との立場を示している。しかし、パク氏は今年5月、光州5・18記念展示に参加しようとして世論の批判に直面し、参加を断念している。

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チョン・サンヒョク記者
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  • ▲ソウル市鍾路区昭格洞のギャラリー「ハクコジェ」で展示されている漫画家パク・チェドン氏の作品『ウイルス』の連作。金於俊、チョン・ウンギョン、キム・ヨジョンの肖像画の後ろにウイルスが漂っている。/チョン・サンヒョク記者

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