【朝鮮日報コラム】米中間「綱渡り外交」の有効期限は切れた

航行の自由、ファーウェイ、領事館…「誰の味方か」選択を迫る米中

 「トランプ大統領の選挙戦略レベルの『中国たたきショー』に、あまり敏感に反応する必要はない」と考えることもできる。実際、再選を巡って非常事態となっているトランプ大統領が、あえて一段と大きな騒音を立てているという側面もある。だが中国圧迫はトランプ大統領個人のアジェンダ(課題)ではない。米国議会は今年に入り、「台湾」「チベット」「新疆ウイグル」「香港」関連の法律を次々と満場一致に近い票決で通過させ、対中包囲・封鎖網を法的に完成させた。中国の覇権挑戦、人権弾圧、サイバーハッキング、技術盗用はもはや座視し得ないというコンセンサスが超党派で形成されているのでなければ不可能な出来事だ。数十年にわたり米国の対中政策の根幹となっていた仮説、すなわち「米国が中国の経済成長を助ければ、中国は民主的かつ平和的に浮上するだろう」という声はもはや聞かれない。民主党が大統領選挙に勝利した場合の国務長官候補トップに挙げられているブリンケン元国務副長官は「トランプ以上の強力な対中圧迫」を予告している。中華民族の偉大な復興という「中国の夢」実現を掲げる習近平国家主席との正面衝突は避けられない。

 現在、全てのシグナルは「選択の瞬間」が米国大統領選挙の結果とは無関係に迫っていることを示している。力の原理が支配する国際政治の冷たい現実だ。特に韓国は、地政学的立場ゆえに最前線で決断を要求される可能性が高い。「安全保障は米国、経済は中国」という外交的綱渡りは有効期限が切れた。トランプ大統領登場後、米国は以前の米国ではなく、韓米同盟は万古不変の真理でもない。しかし依然として米国は、日本・英国・フランス・ドイツ・オーストラリアなどと一つのチームを作り上げている。中国側に立つということは、北朝鮮・イラン・キューバ・パキスタンと運命を共にするということを意味する。

 個別の事案で柔軟性を持つことはできるだろうが、大きな枠組みで韓国が進むべき方向は明確だ。だが新たな外交・安保チームの顔触れと発言を見ていると、今の政権は韓国をとんでもない方向へ引っ張っていきかねないという不安が消えない。

イム・ミンヒョク論説委員

■韓国人が好きな国1位は米国、日本は?

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