【社説】監視装置が7回も捕捉した越北に気付かない韓国軍

 7月18日に脱北民のキム氏が漢江を渡って北朝鮮入りする過程は、韓国軍の監視装置に合計7回も捕捉されていたことが確認された。海兵隊所属の哨所の監視カメラ(CCTV)および近距離・中距離監視装置に5回、熱映像監視装置(TOD)に2回、記録が残っていたという。にもかかわらず韓国軍は、北朝鮮のテレビが26日にキム氏の北朝鮮入りの事実を発表するまで全く気付いていなかった。越北当時、監視兵は北朝鮮に山火事が起きたのを見ており、標的を認識できなかったという。

 問題になった海兵隊哨所は、本来は4交代体制であるべきなのに、人員不足のため3交代で運営されていたという。6時間が集中力を維持できる限界なのに8時間に伸ばしたのだから、隙が生じることは避けられない。また合同参謀本部は「画面上では識別が難しい面があった」と釈明した。画面を見ていたとしても、熟達した専門家でなければ気付くのは困難だったというのだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権が推進する国防改革2.0によると、常備兵力は2018年7月の61万8000人から、2022年までに段階的に50万人へと減らすことになっている。師団ごとの担当前線が1.2倍ほど増えることになる。軍服務期間も21カ月から18カ月に減る。これに伴い、自己の任務を十分にこなし難い非熟練兵の比率は67%に増加すると分析されている。兵力削減と服務短縮に伴って懸念されていた問題点が、今回の越北探知失敗でそのまま露わになったのだ。

 かねてより、18カ月服務の韓国軍50万人で7-10年にわたって長期服務する北朝鮮軍128万人を相手にできるのか、という懸念があった。韓国軍は「ドローンボットや無人偵察機のような先端監視偵察システムで補完が可能」と豪語していた。高い金を払って先端装備を購入して、何をするのか。その装備をきちんと運用できる熟練した人員が足りなければ、無用の長物にほかならない。

 キム氏が北朝鮮に渡ったそのルートを利用して北朝鮮特殊部隊の精鋭要員が潜入してきたら、どうなっていたか。今年になって、酒に酔った人物や認知症の高齢者が韓国軍部隊に入り込む警戒失敗事件が繰り返されるたび、国防相は「弁明の余地はない」「反省する」「特段の対策を講究したい」と言ってきた。監視装置に7回も捕捉された越北場面にまるで気付かなかった今回の事態では、またどんな弁明をすることになるのか。

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  • ▲北朝鮮に渡ったキム氏が通り抜けたと推定される燕尾亭(江華郡月串里)近くの排水路/写真=聯合ニュース

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