北の水害状況も把握できてないのに対北支援の話から始める韓国統一部

 韓国統一部(省に相当)は10日、対北朝鮮水害支援計画に関連して「多角的に検討し、実施したい」と表明した。統一部の呂尚基(ヨ・サンギ)報道官はこの日、定例のブリーフィングで「まだ具体的な被害、北朝鮮側地域の水害による具体的な被害の現況を把握したものではない」としつつ、このように語った。

 北朝鮮の水害の状況を把握もできないまま、とりあえず支援の話から始めたのだ。水害復旧に使われるはずの予算をほとんどコロナ対策で使い尽くし、4次補正の議論まで出てきて「自分のことで精一杯」な状況の下、まず北朝鮮向けの支援から話を始めるというのは民心とかけ離れている-との指摘がある。

■韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?

 北朝鮮の豪雨被害の状況を尋ねる質問に対し、呂報道官は「おそらく北朝鮮全域で洪水による被害もあり、また水の管理に伴うボトルネックが大きかっただろう」と答え、その根拠として記録的な降水量を挙げた。呂報道官は「最悪の洪水被害が発生した2007年(8月)の場合、およそ7日間で500ミリないし700ミリの雨が降ったが、今年8月はあのときより多い水準」とし、「今週8月1日から6日までの降水量は江原道平康の場合およそ854ミリで、これは北朝鮮の年間平均降水量960ミリに迫る水準」と語った。だが、具体的な被害の状況は提示できなかった。さらに「韓国政府は、人道分野の協力は政治的・軍事的状況とは関係なく一貫して推進すべきという立場」だとして、「今の段階で具体的に何があると明かせる段階ではないが、原則的立場から、条件が整えば多角的に検討して(水害支援を)実施したい」と発言した。

 南成旭(ナム・ソンウク)高麗大学教授は「北朝鮮の水害の状況も分からず要請もないのに、韓国側が乗り出して支援を検討するというのは順序が違う」とし、「現在は韓国も水害で被害が続出し、(予算不足で)水害支援のための4次補正予算を編成する話まで出ている状況で、『北朝鮮を助けよう』という話からするのは不適切」と指摘した。また野党関係者は「今年の初め、コロナ問題が始まってマスクの品薄現象が最も深刻だったころ、対中・対北マスク支援を巡って冷え込んだ世論を忘れるべきではない」と語った。

◆韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?

キム・ミョンソン記者
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