【社説】選挙介入裁判まで妨害する青瓦台、政権不正隠蔽が国政の最優先課題

 蔚山市長選をめぐる選挙工作事件の公判で中心的な役割を果たしていた部長検事が、今回の検察人事異動で国民権益委員会への派遣辞令を受けたという。検事を外部機関に派遣する際には本人の意思を確認するのが慣例だ。ところが、今回はその手続きも経ずに発令したというわけだ。事件の裁判に出席するなということだ。蔚山選挙工作事件は、民主主義の根本である選挙制度を破壊した重大犯罪だ。30年来の友人である与党候補を当選させたいと願う大統領のために、青瓦台(韓国大統領府)の七つの部署が一斉に加担した。事実上、大統領の指示に従ったものと考えざるを得ない。関連容疑と真相を一つ残らず究明するためには、捜査はもちろん法院(裁判所)での裁判がしっかり行われなければならない。この政権は、事件を捜査していた部長検事と副部長検事を地方に左遷させ、捜査チームを空中分解させるという方法で捜査を妨害した。左遷された検事たちもやはり裁判に参加するのは困難だろう。ところが、これに加えて公判担当幹部にまで外部機関への異動を命じたというのだ。捜査を妨害するどころか、裁判までうやむやにしようという意図だ。なぜこんなことまでするのか。いったいどんな大罪を犯したというのか。

 似たようなことはチョ・グク前法務長官一家の不正事件でも起きている。チョ氏夫妻の裁判で主な証人尋問を担当していた副部長検事をはじめ、公判チームの検事9人のうち3人に人事異動の措置が下された。副部長検事は、裁判が開かれるソウルから最も遠い検察庁である慶尚南道統営地庁に異動になったという。裁判に関与できなくなるよう手足を縛って痛めつけたわけだ。すると、残りの検事たちが李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長に「6人だけでも公判チームに残してほしい」と訴えたという。しかしこれも黙殺される可能性が高い。

■腐敗認識指数1位はデンマーク&NZ、韓国は39位、日本は?

 現政権は前政権に対する捜査の際、検事20人以上からなるチームを構成し、裁判を担当させた。有罪を導き出すのが国政の第一号課題だと言った。実体もない「司法権力乱用」を究明するとして特別公判チームを立ち上げ、今でも運用している。法律の専門家によって構成された捜査審議委員会が起訴すべきでないとしていたサムスン副会長の起訴に備え、また公判チームを立ち上げるという。そのくせ自分たちの政権不正については、捜査担当検事を「虐殺人事」によって不当に異動させるだけでなく公判チームまで空中分解させている。政権の不正隠蔽が国政の最優先課題になったようだ。

 韓東勲(ハン・ドンフン)検事長に暴行を加えた丁珍雄(チョン・ジンウン)部長検事に対する監察・捜査を進めていたソウル高検の程軫基(チョン・ジンギ)監察部長が8月31日、辞表を提出した。犯罪の被疑者は次長検事に昇進したのに、その被疑者を捜査した検事は検察から事実上追い出されたわけだ。青瓦台と法務部による見掛け倒しの検察改革案と虐殺人事に抗議した検事たちは、一人の例外もなく辞職するか捜査権のない閑職に追いやられる一方、政権側についた「ペット検事」たちは要職をつかみ取って出世している。

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