【社説】文セールス「ニューディール・ファンド」、損失出れば国民の税金で埋めるだなんて

 韓国政府が公共資金7兆ウォン(約6200億円)、民間投資13兆ウォンで計20兆ウォン規模の「ニューディールファンド」を創設し、来年から一般投資家にも販売すると発表した。データ、人工知能(AI)、太陽光事業など「韓国型ニューディール事業」に投資する官製ファンドは損失が出ても公共投資で補填する構造で設計された。マイナス35%までは政府が責任を負い、元本を保障するという意味だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と政府官僚が個人の資金で責任を負うわけではない。結局は国民の税金で埋めるというのだ。ファンドに損失が出れば、投資者が損失を背負うのは常識だ。ところがニューディールファンドの損失をなぜ投資もしていない他の国民の税金で埋めるのか。他の国民はカモなのか。こんなとんでもないことを政策だと言って打ち出している。それでも文大統領は「損失リスク分担と税制優遇でより安定的な収益を可能にする」と官製ファンドの宣伝に乗り出した。

 政府と民主党が先月、初めてニューディールファンドの構想を示した際には、「国債金利以上の収益」と「元本保証」を掲げた。それが資本市場法に違反すると論議を呼んだために撤回したと思えば、結局は事実上の元本保証を押し通した。外見はファンド商品だが、政府が償還を保証する国債を発行するのと同じだ。国民の税金を使って、政府の借金を返すことを安易に考えている。

 ニューディールファンドが投資する「韓国型ニューディール」には低炭素、グリーン産業団地、スマート医療インフラ構築など公共性が高い事業が多く含まれている。公共事業は収益を上げるのが難しい。過去の政府の官製ファンドもほぼ全てが失敗した。しかし、今回は政府が事実上元本を保証するので、一般投資家の間で爆発的な人気となるのは間違いない。災難支援金のように税金で国民にあぶく銭をばらまいて歓心を買うのと変わらない。償還時期は2025年以降なので、たとえファンドが破綻しても次の政権のせいにすればよい。法と原則を逸脱しているだけでなく、あまりに無責任だ。

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