【記者手帳】秋長官息子に関する情報提供者の実名暴露…公益申告者保護はどこへ

 しかし、こうした法律解釈はさておき、与党所属の国会議員が当直兵の実名を公開して非難したことは、文在寅(ムン・ジェイン)政権の基調にそぐわない。公益申告者の保護を強化するというのは、文大統領が2012年の大統領選に立候補したときから一貫して訴えてきた公約だ。公益申告者の保護に関する要件自体が厳格すぎて、塀の外に追いやられてしまった人が多かったからだ。実際に2011年の法施行から昨年までに、公益申告者の保護を申請した約300人のうち、認められたのはおよそ3分の1だけだった。

 こうした状況を考慮し、公益申告者保護法の改正が今年5月に閣議を通過し、今年11月に施行されることになっている。公益申告の対象行為が従来の284種類から467種類へと大幅に増える。これには「軍刑法」も含まれる。当直兵が告発した内容は、法の施行によって新たな公益申告対象行為に含まれるわけではないが、少なくとも当直兵の告発内容は文政権の主張する「公益」に該当しているとみていいだろう。

 「個人情報暴露」や携帯メールによる脅迫に乗り出した与党支持者たちも同様だ。公益申告者の「公益」に焦点を当てるのではなく、誰を告発したのかという部分にだけこだわるという状況が繰り返されている。過去に青瓦台(韓国大統領府)特別監察班員の民間人査察疑惑を提起したキム・テウ元検察捜査官や、「国債発行外圧疑惑」を暴露したシン・ジェミン元企画財政部事務官も、さらし者になるという苦痛を味わった。

 このような一部の与党支持者の振る舞いは、実際には相手が公益申告者かどうかに関係なく処罰の対象だ。情報通信網法では「恐怖心や不安感を誘発する符号・文言・音響・画像または映像を繰り返し相手に送り付けた者」は1年以下の懲役または1000万ウォン(約90万円)の罰金刑に処せられると規定されている。

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クォン・オウン記者
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