【萬物相】1年で3回の左遷人事

【萬物相】1年で3回の左遷人事

 1981年の低質練炭事件は政権の「検察虐殺人事」の事例として広く知られている。ソウル地検特捜部が練炭に不良品を添加して暴利をむさぼった製造会社の代表らを拘束した。大統領はソウル地検長を激励し、「背後にいる公務員も捜査せよ」と指示した。だが、捜査の矛先が政権の実力者たちに及ぶと、その姿勢は変わった。検察総長を飛ばして捜査検事を全員閑職に追いやった。青瓦台の指令を受けた法務部長官は「経済関連捜査は承認を受けよ」と言った。

 その後の各政権も自分たちの意向に逆らう検事たちを「一巻の終わり」に追い込むことが少なくなかった。検察幹部が法務研修院の教材に「(政権は)必ず人事で報復する」と書くほどだ。それでも公然と報復するケースは珍しかった。世論の目を気にして大統領たち自身も権限行使を自制する術(すべ)を知っていた。一時左遷されていた検事が後に要職に復帰して、政権の不正を捜査するケースもあった。

 ところが、現政権は違う。大統領は権力を自制する術を知らず、「検察総長事前協議」などの人事原則はすべて崩壊した。検事らの必須補職期間1年を保障すると言っておきながら、6カ月もたたずに政権不正捜査チームを空中分解させ、自分の味方の検事を要職に就かせた。人事の基準はただ一つ、「自分たちの味方なのか、そうでないのか」だけだ。嫌われて追い出された検事があまりにも多いため、捜査能力で言えば大検察庁・ソウル中央地検よりも法務研修院や済州地検の方がましなほどだという。あきれたことだ。今年の「虐殺人事」で検事35人が左遷されたり、法服を脱いだりしたそうだ。実際にはそれよりもはるかに多いだろう。これが彼らの「検察改革」だ。

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