日本で国際法の専門家である外交官を最高裁判所裁判官に任命する慣行は、外交と国際法を重視する日本の政治の産物だ。経験豊富な外交官を布陣させ、司法府が他国との外交に過度に介入したり確執を引き起こしたりするのを防ぐという狙いもある。司法府が行政府の外交活動に影響を与えるのを最小限に抑える「司法自制」の一形態であると見ることができる。
長嶺氏は日本外務省を代表する国際法専門家だ。東京大学教養学部出身で、1977年に外交官になった後、内閣法制局参事官、法規課長、国際法局長を務めた。国際司法裁判所(ICJ)があるオランダでも日本大使を務めた。2019年10月からは駐英国大使を務めている。
長嶺氏は慰安婦問題や徴用被害者問題で韓日関係が最悪だった2016年から3年間、駐韓日本大使を務めた。 2016年、釜山にある日本総領事館前に慰安婦被害者を象徴する少女像が設置されると、当時の安倍晋三首相が対抗措置として長嶺氏を3カ月間「一時帰国」させた。最高裁判所裁判官は「最高裁判所長官の意見を聞いた後、内閣が閣議で決定する」と規定されており、菅首相が長嶺氏を直接選んだという見方が出ている。