【社説】「所得主導成長」まで肯定評価、政権広報誌と化した韓国史教科書

【社説】「所得主導成長」まで肯定評価、政権広報誌と化した韓国史教科書

 昨年、韓国史教科書を新たに選定した韓国各地の高校のうち、70%が採択した教科書には韓国海軍の哨戒艦「天安」が北朝鮮によって撃沈された事実を記述していなかった。北朝鮮による撃沈の事実そのものが書かれていなかったり、「沈没」もしくは「事件」と記述して挑発自体を明記しなかったりした。8種類の教科書のうち、北朝鮮による「天安攻撃」をはっきり記したのは2種類しかなかった。

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 また、北朝鮮については「朝鮮民主主義人民共和国樹立」と書いておきながら、韓国は「政府樹立」と格下の表現を用いた教科書が多数だった。多くの歴史教科書が、このように北朝鮮に対する批判的な記述を回避し、韓国については評価の切り下げを行って、事実上現代史を歪曲(わいきょく)している。

 歴史的な事件についての客観的評価は、一定の時間がたって初めて可能だ。だから正常な民主主義諸国は、現政権についての評価はできるだけ教科書で取り上げないのが原則だ。しかし8種類の韓国史教科書は、2018年の南北首脳会談や板門店宣言などを記述し、南北和解ムードを実現したと強調している。昨年6月に北朝鮮が開城の南北共同連絡事務所を爆破し、最近金正恩(キム・ジョンウン)が原子力潜水艦、極超音速兵器の開発などを公言して南北関係を悪化させたことを考慮すると、事実の歪曲にほかならない。現政権の代表的な経済政策である所得主導成長は、成果を出せず廃棄されたという声が上がるほどだが、一部の教科書は肯定的に評価して既述した。

 政権寄りに偏向した歴史教科書を作って教えることは、主体的な判断能力を持ち得ていない青少年に政権寄りの思考方式を刷り込むことにほかならない。少なくとも現政権の任期中に生じた事件は、現代史の教科書から除外する方向へと執筆基準を変えるべきだ。

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