韓国で新たな形の暴力と化した虚偽の「校内暴力ミートゥー」

「あの歌手に殴られた」
同期生を名乗る暴露者、調べてみると8歳年上のサラリーマン
大衆心理を刺激…悪用事例も増加

 韓国スポーツ界を中心に始まった「校内暴力ミートゥー」が芸能人や一般人にまで広がっている。これまで語る場がなかった被害者たちの声がSNS(会員制交流サイト)の普及によってその影響力が高まり、さらには法的処罰の時効が過ぎた事件についても「大衆裁判」の形で加害者を即座に懲らしめるというパターンが形成されつつあるのだ。過去に校内暴力を日常的に行っていた人物が社会から次々と追放され、「校内暴力の恐ろしさについて理解が深まった」とする前向きな意見もあるが、これを悪用した虚偽の暴露によって無実の被害者が生み出される懸念を指摘する声も高まっている。

 あるネット掲示板に掲載された俳優チョ・ビョンギュさん(25)による校内暴力暴露の書き込みも、わずか1日でうそだったことが分かった。この書き込みによると、チョさんはニュージーランドに留学していた当時、同じ学校に通う別の生徒に対して日常的に暴言を吐いていたという。しかし書き込みが行われた翌日、チョさんの事務所が「悪意のある書き込みだ」として警察に捜査を依頼したところ、書き込みを行った人物が「うそだった。後悔しているので善処してほしい」と連絡してきたという。事務所側が明らかにした。この人物は問題の書き込みをすでに削除している。アイドルグループ「Wanna One(ワナワン)」のメンバー、パク・チフンさん(22)も数年前、中学校の同期生を自称する人物による「校内暴力暴露」の書き込みに苦しんだ。しかし警察による調査の結果、書き込みを行った人物はパクさんと全く面識がなく、年齢も8歳年上のサラリーマンだった。法律の専門家によると、有名人を狙った暴力の暴露そのものは処罰の対象にならないが、その暴露内容が虚偽だった場合は名誉毀損(きそん)の罪になるという。

 16日午後にはアイドルグループ「TOO」のメンバー、チャ・ウンギさん(19)の校内暴力を告発する書き込みもアップされた。「事実かどうか分かるように証明してほしい」との要求が相次ぐと、書き込みを行った人物は心療内科の診断書と卒業証書を公開した。すると別のネットユーザーが自らの卒業アルバムの一部を映し出した上で、「被害者の側から少しずつひどいいたずらをするようになったので、ウンギも我慢できなくなって関係が悪化した。校内暴力ではない」とする反論の書き込みを行った。どれも過去に発生した校内暴力のため、明確な証拠もないまま被害者の主張だけが一方的に広がるケースが多く、いずれのケースでも事実関係を巡る激しいやりとりが続くようだ。

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ホ・ユジン記者 , ナム・ジヒョン記者
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  • ▲俳優チョ・ビョンギュさん

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