【社説】教科書無断修正も実務担当者だけ処罰、これが文在寅式の正義

【社説】教科書無断修正も実務担当者だけ処罰、これが文在寅式の正義

 初等学校(小学校に相当)6年生の社会科教科書を無断で修正した韓国教育部(省に相当、以下同じ)の課長と研究士(研究を担当する公務員)に懲役刑が宣告された。彼らは2018年に執筆者の同意を得ないまま「大韓民国樹立」を「大韓民国政府樹立」に変更し、北朝鮮に批判的な内容を次々と削除した。また執筆者が修正を拒否した際には、その執筆者を排除した非公式の部署を立ち上げ、現政権の意向に沿って213カ所を修正した。

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 虚偽の住民要望を入れ、執筆者が会議に出席したかのように議事録を捏造(ねつぞう)した上で、その印鑑まで勝手に押印した。上からの指示がなければ一介の公務員には到底できない犯罪行為だ。しかしその上の人物は誰も処罰されなかった。検察は一連の問題で告発された金相坤(キム・サンゴン)元教育部長官に対してはまともな取り調べさえ行わなかった。容疑者が「上からの指示」と言わなかったのがその理由だった。

 教育部は問題の担当課長に対しては懲戒を行わず、育児休暇を与えた上で国立大学に異動させた。上の人間に捜査の手が伸びないようにこの課長を犠牲にし、人事で報いたのではないのか。教育部の兪銀恵(ユ・ウンヘ)長官は「前政権における過ちを修正した」とした上で「不法に介入したことはない」と開き直った。朴槿恵(パク・クンヘ)前政権当時の国定教科書については積弊と批判し、担当職員らに対する捜査を次々と依頼したが、自分たちの重大犯罪には責任がないと主張しているのだ。

 この種の出来事は現政権ではもはや珍しくもない。大統領が「月城原発はいつ閉鎖するのか」と一言口にしただけで、月城1号機の経済性評価が捏造された。産業資源部長官は抵抗する担当課長に「お前、死ぬ気か」と脅迫した。休日の深夜にオフィスで証拠を隠滅した職員だけが刑務所行きとなった。孫恵園(ソン・ヘウォン)元民主党議員の父親を独立有功者に仕立て上げる特恵犯罪も、実務を担当した局長だけが処罰を受けた。警察はタクシードライバーに暴行を加えた李容九(イ・ヨング)法務部次官に対する捜査結果を握りつぶして見逃したが、事件を担当した警察官には自宅待機を命じた。国の借金を心配する企画財政部の官僚に対しては「本当に悪いやつだ」「改革に抵抗する勢力」と攻撃した。後に財政が枯渇し加徳島新空港に問題が生じれば、実務担当者だけが取り調べを受け処罰されるだろう。これが文在寅(ムン・ジェイン)式の正義だ。

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