【社説】韓国は今、民主主義の仮面をかぶった権力が法治を破壊する国

【社説】韓国は今、民主主義の仮面をかぶった権力が法治を破壊する国

 韓国の政権与党が検察から捜査権を完全に奪い去る法律制定の手続きを進めていることについて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は「政治、経済、社会の各分野で力のある勢力に治外法権を提供することにつながる」と指摘した。与党は検察から、腐敗、選挙、経済など6大犯罪の捜査権まで奪い取り、検察を起訴と裁判の管理だけを行う「抜け殻」にしようとしているのだ。捜査権は法務部(省に相当、以下同じ)の捜査庁に移すという。法務部は大統領の手先だ。そのため今後韓国では権力による不正や違法行為に対する捜査は完全に封鎖される。もし検察が現政権ではなく前政権の捜査だけを続けていれば、捜査権の剥奪どころか検察による捜査の権限は一層強くなっていただろう。ところが青瓦台(韓国大統領府)による蔚山市長選挙への介入、月城1号機の経済性捏造(ねつぞう)、チョ・グク元法務部長官一家による破廉恥犯罪、環境部ブラックリスト、ライム・オプティマス・ファンド詐欺など、政権が関与する違法行為を検察が捜査しようとしたところ、これに怒って立法権を使い検察に復讐(ふくしゅう)しようとしているのだ。そのため尹総長が「民主主義という仮面をかぶり、法治を抹殺して憲法精神を破壊している」と指摘したのだ。

 いわゆる「民主化政権」といわれる今の文在寅(ムン・ジェイン)政権において、数の力を利用し憲法の精神と法の手続きを根本から無視するような事態はこれまでもあまりに多く、それらを列挙するのも難しいくらいだ。「加徳島新空港特別法」は政権の手先である法務部さえ「違法の可能性がある」との見方を示している。国土交通部は「法案に賛成すれば職務遺棄で処罰される恐れがある」として反対した。それでも与党は国会での採決を強行した。大統領はこの特別法が国会で成立する前に釜山に行き、加徳島空港の宣伝を行った。釜山市長選挙において自分たちが票を得るためだ。選挙への介入を禁じた法律を露骨に踏みにじったのだ。国際社会が人権侵害を理由に反対している対北ビラ禁止法も強行採決によって成立させた。憲法で定められた権利を侵害する可能性が高い「5・18法」も強行採決だ。ゲームのルールである選挙法と国の刑事司法システムを変える高捜処(高位公職者犯罪捜査処)法も単独の強行採決だった。高捜処長任命時の野党による拒否権に関する条項も単独採決により削除してしまった。専門家が反対した賃貸借法も強行採決し、伝貰(チョンセ=契約時にまとまった額の保証金を賃貸人に預け、月家賃がない不動産賃貸方式)や毎月家賃を払って家を借りる市民の負担を重くしたが、これも知らんふりだ。これらはもはや民主主義ではなく反民主的な行為だ。

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