【コラム】「嫌韓」と「土倭」では未来は開けない

シム・ウンギョンは日本の映画祭の司会に
日本の雑誌「韓国語を学んで旅行しよう」
両国、共有すべき価値の多い隣人
歴史を悪用する政治家には「ノー」と叫ぶべき

 3月初め、日本の学界と市民団体が声明を出し、慰安婦被害者を「契約売春婦」と規定したハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイヤー教授の論文を批判した。しかし、韓国の肩を持ったり、日本を敵に回したりするよりは、むしろ慰安婦契約の本質は人身売買であり、女性の人権じゅうりんであったことを指摘。国際的コンセンサスを引き出した。このように、普遍的人権に基づけば、両国の市民社会が両国の女性の人権伸張に向け手を握ることも十分できるはずだ。

 韓日両国は共有する価値感の多い隣国だ。何よりも人類愛を共有する。10年前の3月、東日本巨大地震の惨事に見舞われた日本に対し、韓国は救いの手を差し伸べた。菅直人首相(当時)は「絆に感謝する」という広告を朝鮮日報に掲載し、これに応えた。あれから10周年を迎え、韓国外交部(日本の省庁に当たる)が慰労の書簡を送ると、別件では冷徹だった日本も感謝の意を表明した。

 政治的に膠着(こうちゃく)している両国関係を突破する迂回(うかい)路も、探してみればいくらでも出て来る。昨年、日本に韓流ドラマのブームが起きた。『愛の不時着』に魅了された日本人は、コロナが終わって韓国を訪れる日を今か今かと待ち焦がれている。『韓国語ジャーナル』という雑誌は「いつか行くことができる。その日に備えて韓国語を磨こう」という記事を大きく掲載した。日本アカデミー賞は、日本最大規模の映画部門の授賞式だ。3月19日に行われたイベントの司会を韓国人俳優のシム・ウンギョンさんが担当した。

 米国が連日、韓日関係の復元を促している。北朝鮮の核の脅威と中国の膨張に対応するには、当然そうあるべきだ。しかし、両国国民の間の深いつながりを抜きに、戦略的利害関係だけで結ばれた韓日関係がいかに虚弱であるかは、これまでの4年間の両国関係が物語っている。人権、人類愛、文化といった普遍的コンセンサスをベースに交流し、協力して友好を築いていかなければならない。国内政治的な理由でやれ「嫌韓」だの、やれ「土倭(土着倭寇、韓国で日本に理解を示す者を指す蔑称)」だのと言って歴史を悪用する政治家には、断固として「ノー」と叫ばなければならない。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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