【萬物相】「キムチプレミアム」…ビットコイン狂風

【萬物相】「キムチプレミアム」…ビットコイン狂風

 世界最大の金消費国インドは金の密輸天国でもある。密輸される金の主な供給元は中東ドバイだ。ドバイでは金が課税されないのに対し、インドでは金の輸入時に関税、付加価値税など17%が課税される。ドバイから金を密輸すれば、17%の差益を上げられる構造だ。韓国の金密輸グループも金が課税されない香港産の金塊を密輸し、関税(3%)、付加価値税(10%)の差益を狙う。韓国で流通する金の約70%は密輸を含むデータのない取引が占めるとされる。

 密輸は一種の差益取引と言える。同じ品物を安い場所で買い、高い場所で売り抜けて差益を得るからだ。外国のブランド商品を海外から直接購入するのも差益取引と見なせる。金融工学の専門家が株式にも差益取引の概念を導入し、先物と現物の価格差を狙うプログラム売買をつくり上げた。未来の株価である先物価格と現在の株価である現物価格の差益を得るため、先物と現物を交互に取引する手法だ。

 韓国の暗号通貨市場で差益取引が盛んに行われている。韓国のビットコイン相場は米国のビットコイン相場に比べ1万ドル以上高く、「キムチプレミアム」現象が起きているからだ。米国でビットコインを購入し、韓国の取引所で売却すれば15%以上の収益をノーリスクで得られる。理論的には差益取引が増えれば、価格差が縮小するはずだが、暗号通貨市場は国家間の障壁が高く、韓国のビットコイン需要も大きいため、キムチプレミアムは解消されていない。

■腐敗認識指数1位はデンマーク&NZ、韓国は33位、日本は?

 ビットコインの狂風が吹き荒れる中、ハッキングに対する安全装置もなしに無制限で発行されるアルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)の価格も軒並み上昇している。米コンピューターエンジニアがジョークでつくった「ドージコイン」の1日当たり売買代金(17兆ウォン)が韓国株式市場メーンボード(KOSPI)の売買代金(15兆ウォン)を上回るというとんでもない状況も起きている。韓国国内の暗号通貨投資家が相場上昇を願って叫ぶ「GAZUA!」という表現は英語圏の俗語辞典(urban dictionary)にも載り、ドージコイン投資家が叫ぶ「To the moon(月に行こう)」と同様の意味で使われている。

 小説家チャン・リュジンが最近発表した「月まで行こう」は20-30代の暗号通貨投資ブームを描いている。チャン・リュジンは「前に進む方向キーをいくら押しても足に砂のうを引きずるように重くゆっくりと進む」人生に疲れ、「コインの最終電車」に乗るのだと診断した。小説に登場する青年投資家はカネをもうけ、飛躍の足がかりをつかむ。しかし、人生は小説のようにはいかない。コインブームが青年世代にまた絶望を抱かせないかどうか気がかりだ。

キム・ホンス論説委員

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