利敵表現物「金日成回顧録」、韓国書店で販売開始

 韓国大法院(最高裁判所に相当)判決で「利敵表現物」とされた北朝鮮の故・金日成(キム・イルソン)主席の回顧録「世紀と共に」が韓国で初めて出版され、教保文庫、イエス24、アラジンなど韓国の大手書店で販売が始まった。21日にネット書店のイエス24で注文すれば翌日には受け取り可能で、インターネット教保文庫やアラジンでは26日発送分の予約を今も受け付けている。

 同書は、社団法人「南北民間交流協議会」の理事長を務めたキム・スンギュン氏(83)が昨年11月に出版社として登録した民族サラン房から、全8冊の洋装本として出版された。定価は8冊セットで28万ウォン(約2万7000円)。キム氏は北朝鮮関連の貿易などを行う中小企業「南北交易株式会社」の代表も務めている。金日成の抗日武装闘争史を描いたとされる「世紀と共に」は1992年4月15日、金日成の80回目の誕生日をきっかけに同年4月から97年8月まで平壌の「朝鮮労働党出版社」から対外宣伝用として出版された。

 出版社側はインターネット書店での紹介欄に「1945年8月15日に日本帝国主義から解放されるその日まで、中国満州の平原や白頭山の野営地を行き来しながら抗日武装闘争を展開した鮮明な記録」「実際のところ日帝治下では金将軍を伝説的人間としてその存在そのものが否定された。今本人の回顧録によって疑問の余地は全てなくなったと言うべきだ」と書かれている。その上で「今後は南北間の和解を通じて統一プロセスを成功させよう」「正しい歴史を伝えるという次元で済州4・3義挙、麗水・順天義挙の名誉が回復され、怨魂が慰められている。左翼勢力による抗日武装闘争も抗日闘争の輝かしい功績として認められる日が来ることを祈願する」との説明も付された。

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クァク・アラム記者
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