米国、対中けん制戦線から事実上「コリア・パッシング」

G7外相らは会談を行うたびに中国を念頭に置いた発言が相次ぐも韓国に対してだけは自制する雰囲気
21日に予定されている韓米首脳会談でも中国問題は大きな議題とならない見通し

 米国は中国けん制を安全保障政策の重要問題としているが、韓国側と会うときだけは中国に関する言及は控えているようだ。実際にロンドンで行われたG7(先進7カ国)外相会議の際に韓米外相会談(3日)と韓米日外相会議(5日)が相次いで開催されたが、いずれも中国問題は議題にならなかった。今回のG7会合期間中、米国のブリンケン国務長官が主要国の外相と会談するたびに「中国」を大きく取り上げたこととは対照的だった。「米国は反中政策に拒否感を示す韓国に期待しなくなったのでは」との懸念の声まで出ている。

 韓米日外相会議とは対照的に米日外相会談(3日)では中国問題が大きく取り上げられた。会談直後に日本の外務省は「両長官は東シナ海と南シナ海における中国の一方的な現状変更の試みに強く反対した」「台湾海峡の平和と安定が重要という点、さらに新疆ウイグル自治区の人権問題に対する深刻な懸念を共有した」と説明した。韓米日外相会議で中国問題が取り上げられなかったのは韓国が理由だったと十分推測できる内容だった。

 中国への圧力を最大限強めたとされる今回のG7外相会合後の共同声明も、その内容は米国が中心となって取りまとめられたようだ。声明は東シナ海と南シナ海の周辺情勢に深い懸念を示し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」も取り上げられた。とりわけ世界保健機関(WHO)や世界保健総会(WHA)への「台湾の意味ある参加を支持する」との内容には中国が激しく反発するものと予想される。

 米国は自分たちが最も関心を持つ中国けん制問題を「先進国の親睦グループ」とも言えるG7で積極的に取り上げたが、その一方で安全保障面での協力がテーマの韓米日外相会議で大きく取り上げなかったのは異例だ。韓国外交部(省に相当)の関係者は「今回の韓米日外相会議にはさほど多くの時間を取ることができず、最近再検討を終えたバイデン政権による対北朝鮮政策の内容を共有することが重点的に行われた」とコメントした。「中国問題は限定された時間の中で議題としての優先順位が低かったにすぎず、意図して取り上げなかったわけではない」という趣旨の説明だ。

■「アジア・パワー指数」1位は米国、韓国7位…日本は?

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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  • ▲米国のブリンケン国務長官と韓米外相会談を行っている韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官。会談はロンドンのG7(先進7カ国)外相会合期間中に行われた。3日撮影。(写真=外交部提供)

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