酔っ払い女性にセクハラで訴えられるのが怖い…ボディカムを装着して出動する韓国の男性警察官

 最近、ソウル市江南区のある派出所に勤務するA巡警(巡査に相当)に、「女性の酔っぱらいが住宅街に倒れている」という無線が入ってきた。出動すると、ミニスカート姿の女性が泥酔状態で倒れていた。「早く措置してほしい」という通報者の前で、A巡警はためらった。一緒に出動した同僚の男性警察官も同様だった。A巡警はひとまず「ボディカム(体に取り付けた小型カメラ)」を作動させてから、泥酔した女性を背負ってパトカーに運んだ。ボディカムは補給品ではなく、彼が自費で買ったものだ。彼は「丈の短い服を着た女性に男性警察官が触れるのは、万一の場合セクハラと誤解されかねないから」とし「公務を遂行しても『セクハラ』通報が入ると、関係する警察官はいったん業務から外されて捜査を受けないといけない状況なので、自分を守ろうと思ったら仕方がない」と語った。続いて「被疑者が女性だと、周囲にいる女性の市民にまず手助けを頼み、どうにもならない場合にのみ、今のようにボディカムを付けて身体接触をする」と説明した。

■2021年男女平等指数1位はアイスランド、韓国102位…日本は?

 韓国警察に「救助・逮捕の際、同じ性別の警察官が措置せよ」という指針があるわけでもない。だが既に現場では、女性には女性警察官が、男性には男性警察官が対応する「性別分業」が当然のように考えられている-と相当数の警察官が語る。このため公務を遂行する現場警察官が、性関連の非難を避けようとして正当な権限行使までためらう懸念が生じている。ソウル市内のある機動隊に勤務する警察官は「女性のデモ隊が出てきたら、男性警察官の中隊はデモ隊を取り囲むだけで、何の措置もできないまま女性警察官の中隊が来るのを待つだけ」と語った。このような状況を利用したケースもあった。2019年、米国大使公邸の塀を乗り越えてデモを繰り広げた大進連(韓国大学生進歩連合)はデモ隊19人の中に11人の女性を配置し「男性警護員が女性デモ隊に体を密着させてセクハラした」と主張した。

 このため最近、一線の警察署では女性警察官に「出動要請」が殺到しているという。ソウルで勤務する、勤続30年のある刑事は「女性の容疑者を逮捕する際、大抵は女性警察官と一緒に出動するが、刑事課所属の警察官およそ50人のうち女性警察官は多くても5人前後」とし「出動が集中する女性警察官も大変で、一人では何もできない男性警察官もつらい状況」と語った。

ユ・ジョンホン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
あわせて読みたい