東京五輪：世界1位の桃田を破った許侊熙…韓国では中継なかった＝バド男子単

　東京五輪バドミントン男子シングルスで28日、韓国の許侊熙（ホ・グァンヒ）＝世界ランク38位＝が同1位の日本の桃田賢斗を破り、準々決勝に進出した。「五輪の歴史に残る番狂わせ」と評される試合だったが、韓国のテレビでは許侊熙のプレーを見ることができなかった。許侊熙の知人だという人物は「負ける試合は見せたくないということか」と怒りをあらわにした。

■国力ランキング世界1位は米国、韓国8位…日本は？

　許侊熙はこの日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われたバドミントン男子シングルス1次リーグA組第2戦で桃田を2－0で破った。これで許侊熙はA組1位となって決勝トーナメントの第1シードを確保し、16強戦ではなく準々決勝に直行した。

　予想外の桃田の敗戦に日本は衝撃に包まれた。桃田は2019年、11の大会で優勝し、バドミントン男子シングルスの絶対王者として君臨した。読売新聞が今年3月に調査した「東京五輪で金メダルが最も期待されるスター」では全競技の選手を通じて1位となった。共同通信は「日本の最も大きな金メダルの希望が崩れ落ちた」と報じた。

　誰も予想できなかった勝利だったからか。五輪中継を担当した韓国のテレビ局3社は、許侊熙の試合を放送しなかった。これに対し、東京五輪の韓国バドミントンを応援するチャットサイトでは、許侊熙の知人を名乗るネットユーザーが「今日、地上波で中継していないのを知って、ひどくあきれた」「その時間にテレビ局はすべて、日本とフランスのサッカーの試合を中継していた。恥ずかしくないのか」と書き込んだ。このユーザーは「相手が世界ランク1位だから、どうせ負けるだろうと中継しなかったのか、負ける試合は見せたくないということか」として「いくら視聴率が気になるからといって、どうして国民をこんなにばかにできるのか」と怒りをあらわにした。その上で「メダル有望種目は再放送までしているのに、あまりにひどい差別ではないか」と憤慨した。

　各テレビ局は29日、許侊熙の試合映像を編集してハイライトで流したり、解説を加えて放送したりした。

　許侊熙は試合後「挑戦者の立場でプレーした」「駄目で元々という気持ちでぶつかっていったが、結果が良かった」と話した。桃田は涙をこらえ「悔いがないとはいえない。ただ、困難な状況でも多くの方々が応援してくれた」「1年延期されたのは誰にとっても同じ条件。言い訳はできない」と話した。