北船舶に石油密輸、米国がシンガポール船籍タンカー接収

「米国の対北朝鮮制裁は無寛容」

 米国の裁判所が北朝鮮制裁違反容疑で摘発されたタンカーの接収を命じる判決を下した。米司法省が先月30日(現地時間)に明らかにした。米司法省はこの日、問題のタンカーを巡る容疑とそれに関連する証拠などについて詳しく説明した。対北朝鮮制裁違反に対する「無寛容の原則」を国際社会に知らせる意図があるものとみられる。

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 米司法省によると、ニューヨーク南部地区連邦裁判所は前日にシンガポール人の男が所有する2734トンのタンカーを接収する決定を下した。このタンカーは海上で北朝鮮船舶に石油などを移し替えるいわゆる「瀬取り」を行い、さらに北朝鮮に直接石油を運搬したとされている。これは米国による独自制裁と国連安保理による制裁のいずれにも違反する行為だ。

 タンカーは米国政府の要請を受けたカンボジア政府が昨年3月から抑留している。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ」は「米政府がタンカーを米国に移すか、あるいは現地で競売などの方式で売却する見通し」と伝えている。

 タンカーは2019年9月に位置情報の伝達装置を無断で切り、北朝鮮タンカー「セビョル号」に少なくとも150万ドル(約1億6500万円)相当の石油を引き渡した様子や、さらに同年11月に北朝鮮の南浦港に移動する様子が衛星により捕捉されていた。

 米連邦捜査局(FBI)はタンカーを所有する男についても「対北朝鮮制裁違反」や「マネーロンダリング」などの容疑でインターポールに指名手配を要請している。制裁違反とマネーロンダリングのいずれも認められた場合、最大で20年の実刑が宣告される可能性もあるという。男は現時点でまだ拘束されていないようだ。

 制裁に違反したタンカーが接収され、米政府の国庫に帰属するのは今回が2回目だ。2019年に米政府は北朝鮮産石炭2万5000トンを違法に輸送した容疑で貨物船「ワイズ・アーネスト」を接収し、裁判所の承認を経て売却した。当時北朝鮮は10日以上にわたり機関誌などを通じて反発の声明を出し「不法で強盗のような行為だ」などと批判した。そのためワイズ・アーネストについては「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の裏金と関係があった可能性が高い」との見方も浮上していた。

ワシントン=イ・ミンソク特派員
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