言論の自由と教育自律を奪った「立法の暴走」

言論の自由と教育自律を奪った「立法の暴走」

 韓国与党・共に民主党は19日、国内外のメディア団体、法曹界、学界、野党が一斉に「反民主的悪法」と批判した言論仲裁法案が国会常任委員会で処理された。この過程で民主党は与党寄りの野党議員を案件調整委員に起用する奥の手を使った。争点となっている法案を与野党合意で処理するよう定めた国会法を無力化した格好だ。民主党は与野党で意見の隔たりが大きい炭素中立法(カーボンニュートラル法)と私立学校法の改正案も同じやり方で処理した。来年3月の大統領選を控え、巨大与党の全方位的な「立法独裁」が本格化した。

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 国会文化体育観光委員会は同日の全体会議で、メディア報道に懲罰的損害賠償制を導入する言論仲裁法を単独で可決した。野党国民の力は党指導部がプラカードを掲げてデモを行い、採決を阻止しようとしたが失敗した。青瓦台幹部は「誤った言論報道による被害の救済が十分ではなく、救済の実効性を高めるための立法的努力も必要だ」と与党を支持した。

 与党は19日未明、環境労働委員会で2030年の温室効果ガス削減目標(2030NDC)を2018年に比べ35%以上とした炭素中立法も単独処理した。民主党から除名された無所属の尹美香(ユン・ミヒャン)議員が「野党側」の案件調整委員として出席し、法案処理を助けた。全国経済人連合会(全経連)は「製造業中心の韓国の産業構造を考えると、国民経済に過大な負担をもたらす懸念がある」と批判した。国民の力は「脱原発の廃止なくして、目標の設定自体が不可能だ」と反対してきた。

 与党は私立学校法改正案も「案件調整委員」を動員して押し通した。改正案は私立学校教員の新規採用試験全体を教育庁に委託する内容で、野党は私立学校の自律性を侵害しかねないとして反対した。文化体育観光委と環境労働委は25日の本会議以降、常任委員長のポストは野党に交代となるため、与党が駆け込み処理をしているとの指摘もある。明知大のキム・ヒョンジュン教授は「大統領選を控え、最大限自分たちに有利な状況をつくるため、『立法独裁』を行っている」と指摘した。

 一方、国会企画財政委員会は同日、住宅保有が1戸の世帯に対する総合不動産税の課税基準を9億ウォンから11億ウォンに引き上げる内容の総合不動産税法改正案も処理した。

キム・ギョンファ記者
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