米議会下院は2日(現地時間)、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる機密情報共有対象国(5カ国)に韓国などを追加する内容を含む議案を成立させたが、これに伴う得失が今注目されている。韓国のファイブ・アイズ加入が正式に決まるには、米議会上院軍事委員会での審議や採決などのプロセスを経た上で、行政府の最終承認を受けねばならない。韓国政府の合意も必要になる。
ファイブ・アイズは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英米圏5カ国による機密情報共有同盟だ。1946年に米国と英国がソ連など共産圏との冷戦に対処するために協定を結んだことが始まりで、その後3カ国が追加された。ファイブ・アイズの中心となる情報機関は世界最大規模の通信傍受機関とされる米国家安全保障局(NSA)をはじめとして、英国政府通信本部(GCHQ)などが信号情報の収集任務を主に担当している。
映画にもたびたび登場する「エシュロン」は人工衛星も含む全世界的な通信傍受システムだ。オーストラリアの通信傍受基地「パイン・ギャップ」には米国とオーストラリアの1000人以上の情報要員が一緒に勤務しており、中国軍の動向などを監視する「ファイブ・アイズ」の中心的な基地として知られている。
ファイブ・アイズは初期には軍事情報の共有からスタートしたが、2000年代以降はハイテク技術情報など経済産業分野をも含む安保・経済同盟へと発展したとの見方もある。韓国がファイブ・アイズに入れば従来の韓米情報共有システムを経て受け取る情報よりも、より広範囲かつ全世界的な情報が得られそうだ。韓国国内にある米NSAの基地が傍受した北朝鮮の通信内容やそこから得られた情報は今も韓国に提供されているが、これは軍事的な側面に限定されているという。
しかし米国のファイブ・アイズ拡大対象国には韓国の他に日本やインドなども含まれていることから、「中国けん制」という性格は今後より強まりそうだ。そのため中国の反発や逆けん制も懸念されている。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「ファイブ・アイズへの加入が具体化するまでに中国は韓国の加入を阻止しようとさまざまな努力を傾けてくるだろう」とコメントした。