【独自】中国漁船の違法操業、10年間で3000件…ほとんどは本国に送還

現状把握もできない韓国政府

 わが国の領海で違法操業している中国漁船の摘発件数が、最近10年間で3000件を超えることが分かった。これは韓国海洋警察が摘発した件数だけであり、実際の違法操業の規模はこれより大きいとみられる。しかし、韓国政府は予算不足などを理由に漁業関係者らの被害状況すら把握できずにいる。

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 国会外交統一委員会所属の野党「国民の力」の太永浩(テ・ヨンホ)議員は6日「最近10年間で中国漁船に対する違法操業取り締まり件数が3060件に達した」と明らかにした。中国の違法操業船は数十あるいは数百隻の集団を形成し、主に西海(黄海)上で違法な装備を利用して根こそぎ魚を獲っていく。太極旗(韓国国旗)を掲げて偽装したり、北朝鮮海域に潜んでいて夜間に南下したりするなど、さまざまな方法で操業している。韓国側は2012年に467隻を拿捕(だほ)したのを皮切りに、15年には拿捕件数が568隻にまで増えた。ただし最近では新型コロナウイルス大流行の影響で操業自体が少なくなり、昨年は35隻、今年は6月までに26隻の摘発にとどまっている。

 ところが、中国漁船の違法操業に対応するための韓国外交部(省に相当)の予算は、最近9年間で総額8億400万ウォン(約7600万円)で、年平均1億ウォン(約950万円)にも満たない水準だった。今年は昨年より1000万ウォン減の8800万ウォン(約835万円)の割り当てにとどまっている。また、違法操業の影響で韓国の漁業関係者の被害が深刻であるにもかかわらず、被害額や漁獲量などの把握も十分に行われていないことが分かった。海洋水産部は「夜間や悪天候などを利用してわが国の水域を侵犯して操業するという特性上、漁獲量など被害状況を把握するのは難しい」と説明した。

 違法操業船を取り締まる韓国軍と海洋警察の安全も脅かされている。2016年10月には仁川沖の小青島海域で、中国漁船が海洋警察の高速艇に衝突して沈没させた上で逃走した。また19年には、中国漁船の乗組員らが海洋警察におのを投げて抵抗するという事件もあった。拿捕された中国漁船の船員が韓国の裁判所の判決によって処罰されるケースはほとんどなく、大部分は中国に送還される。また、船主が供託金を払えば漁船を返してもらえるため「違法操業は儲かる商売」とまで言われるようになっている。

 太議員は「違法操業の影響でわが国の漁業関係者の被害が深刻であるにもかかわらず、政府当局には問題解決の意思がない」として「今からでもわが国の外交部が中国の外交当局に対し、自国での強力な取り締まりと漁民への啓発を通じた予防措置を行うよう求めるべきだ」と指摘した。

キム・ウンジュン記者
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  • ▲ニベの漁場である全羅南道新安郡の黒山島付近で操業中の中国漁船。/写真提供=木浦海洋警察

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