北朝鮮、寧辺でウラン濃縮か

IAEA「深刻な問題」
7月にはプルトニウム原子炉の再稼働を捕捉

 専門家は「北朝鮮の核開発と新型ミサイルが韓国の安全保障に及ぼす影響を考えれば、韓国政府の対応はあまりにも安易だ」と指摘する。とりわけパトリオット・ミサイルやTHAAD(高高度防衛ミサイル)など2重・3重の防衛網が構築されている弾道ミサイルとは違い、地をはうように低い高度で飛来する巡航ミサイルは探知そのものが難しく、現在のミサイル防衛網では対処できない可能性が高い。韓国国防部の徐旭(ソ・ウク)長官はこの日行われた国会での質疑の際、野党・国民の党の李泰珪(イ・テギュ)議員が「北朝鮮は巡航ミサイルに小型の核弾頭を装着できるのか」と質問したのに対し「可能と判断している」と証言した。

 このように韓国政府が深刻な安全保障上の脅威から顔を背ける背景には、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期末に「平和ショー」を行いたい未練が今も残っているためとみられる。ある外交筋は「韓国政府が南北と米国の和解ムード再稼働のきっかけになると期待していた東京オリンピックに北朝鮮は参加しなかった。さらに来年2月の北京冬季オリンピックも北朝鮮の参加が不透明な状況になっている。そのため(韓国政府は)これまで以上に切迫しているようだ」と述べた。政府と与党勢力は国際オリンピック委員会(IOC)が北朝鮮の加盟資格を停止した後も希望を捨て切れないようだ。鄭義溶長官もこの日行われた国会での質疑で「北朝鮮の北京冬季オリンピック参加問題は完全に終わったわけではないと思う」と証言した。今回の巡航ミサイル発射に口を閉ざすことも、「『平昌アゲイン』のきっかけを残しておくためには『北朝鮮を刺激したくない』」という脅迫観念があるためのようだ。

 上記の外交筋は「まともな政府であれば、北朝鮮の新型巡航ミサイル開発成功に対して『対話』ではなく『制裁の強化』を先に主張するはずだ」と指摘した。米国でも同じような声が出始めている。トランプ政権のホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)で北朝鮮担当局長を務めた民主主義防衛財団(FDD)のアンソニー・ルッジェーロ上級研究員は14日、米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」とのインタビューで「バイデン政権は今回の巡航ミサイル発射に対抗し、大統領就任後では最初の北朝鮮制裁を発動するべきだ」と主張した。

■韓国が2021年世界軍事力ランキング6位、北朝鮮28位…日本は?

李竜洙(イ・ヨンス)記者 , パリ=孫振碩(ソン・ジンソク)特派員
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