サムスン重工業の撤退発表に中国・寧波造船所で数千人がデモ

1995年に進出・設立した中国初の独自外国資本による造船所、26年で閉鎖
労働者らが補償案に反発「サムスンは私たちの家、仕事が必要」

 サムスン重工業が中国・浙江省にある寧波造船所の閉鎖を決めたことを受け、造船所の労働者数千人が閉鎖の決定に抗議し、追加補償を求めてデモを行っている。中国の経済メディア「財新」が14日、報じた。寧波にあるサムスン重工業の造船所は26年前に設立された。同社は中国で寧波と山東省栄成の2か所の造船所を運営してきたが、年末までに寧波造船所を閉鎖して栄成造船所に一元化すると13日に発表した。

■アマゾン、3年連続ブランド価値1位…サムスンは42位…TOP10は?

 「財新」によると、サムスン重工業は今月10日、寧波造船所の労働者に対し、契約の中止と補償案を発表した。「コロナの影響で会社の業務が大きな影響を受け、これによって生産・経営が困難になっているため、13日から契約中止の署名を受け付け、署名した労働者に対しては補償を行う」との内容だ。会社側は労働期間1年ごとに1か月分の賃金を支給するほか、追加で3か月分相当の月給と再就職手当を支給する「N+3」案を提示したという。しかし財新によると、労働者側は、聴力障害などこれまでの労働で発生した障害の問題を提起し、会社側の補償水準が低すぎるとして14日になっても造船所内で抗議デモを行っているという。中国国際船舶網は「参加した労働者は数千人に達する」と説明した。

 SNS(会員制交流サイト)に投稿された写真を見ると、労働者らが「サムスンは私たちの家、私は仕事が必要だ。家族を食べさせていかなければならない」などと書かれたプラカードを掲げて集会を行っている。職員たちが夜も帰宅せず造船所の敷地や事務所で休む様子も写っている。

 サムスン重工業の寧波造船所は、中国の改革開放以降初めて外国資本が独自に設立した造船所だ。同社は1995年から総額2億5000万ドルを投資した。年間生産能力は30万トンで、最大で4800人の労働者が働いた。韓国から船舶の原材料を保税扱いで搬入し、韓国より相対的に人件費の安い寧波造船所で組み立て、再び韓国の造船所に運んで最終的に船舶を完成させる。寧波当局は土地などを提供して支援した。

 サムスン重工業の寧波造船所の関係者は「財新」に対し「このような方式を通じ、寧波造船所は高い利潤を得ていたが、その後は寧波現地政府が一定割合の原材料を中国国内で購入するよう要求した上、造船技術の発展に伴って、工程が細分化された今の方式は優位ではなくなった」として「韓国国会が自国の(造船)技術を保護するよう求めてきたため、韓国で高付加価値の船舶を生産し、中国内では伝統的な船舶を生産することになり、寧波造船所の利潤が減少し、寧波当局に対する税金面での寄与も低下した」と説明した。同メディアは、サムスン重工業側が中国国内の造船企業と寧波造船所の合併について話し合ったものの、商標権使用の問題で合意に至らなかったと伝えた。サムスン重工業が寧波造船所の閉鎖を明らかにしたことを受け、寧波当局は今年8月に造船所敷地の返還を受けることにしたという。

北京= パク・スチャン特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 中国国際船舶網、SNS(会員制交流サイト)

right

あわせて読みたい