「配達員・内装工の方が稼げる」…韓国の地方から都市へ流出する外国人労働者たち

決められた地域から無断で離脱するケースも

 ソウル市西大門区でチキン店を経営するある男性(47)は先日フィリピン人を配達員として雇った。時給は1万ウォン(約940円)。このフィリピン人は地方の農場で働いていたが、ビザが期限を迎えたためソウルにやって来た違法滞在者だ。男性は「韓国人の配達員を雇うには1万2000ウォン(約1100円)の時給が必要だが、外国人労働者も最低賃金より少し多く稼げるのでウィンウィン(双方に都合がいい)だ」と語る。

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 農村や工場などで働くためにやって来た外国人労働者がより高い賃金を求めて都市へと続々とやって来ている。最近はコロナの影響で逆に人手不足となっている配達やインテリアなどの仕事にも外国人が進出し始めており、またコロナの感染対策などを理由に取り締まりも事実上ストップ状態にあるからだ。韓国政府が今年江原道楊口郡・洪川郡、慶尚北道英陽郡での作業を配分したウズベキスタン人の季節労働者397人のうち71人は入国から1カ月ほどで無断で現場を離れ、行方をくらました。

 先月30日にある求人・求職サイトで「外国人」「配達」と検索したところ、8500件以上の求人が表示された。記者が「外国人歓迎」と書かれた7社に電話したところ、3社は「違法滞在者でも仕事ができる」と答えた。ある配達代行会社の関係者は「外国人労働者をライダーとして雇うにはF2(居住)、F5(永住)、F6(結婚移民)などのビザが必要だが、率直に言ってこれらを細かくチェックして雇うのは簡単ではないのが実情だ」と語った。

 マンションのインテリア工事の現場にもコロナ後は外国人労働者が多く集まっている。京畿道城南市のあるインテリア会社は「インテリア工事の現場は農村や工場よりも金を稼げるし、仕事もそれほどきつくないので、外国人労働者たちから人気だ」「こちらとしても韓国人より安く雇えるのでプラスになる」と述べた。

 しかし韓国政府は違法滞在者の取り締まりには慎重だ。取り締まりに力を入れれば違法滞在者たちが雲隠れし、彼らがコロナの集団感染を引き起こす可能性がまずは考えられる。同時にコロナによって経営が苦しい自営業者の立場も考慮しなければならない。韓国法務部(省に相当)のある関係者は「コロナの感染拡大によって海外では航空便の数が減っている。しかも違法滞在で摘発された外国人の保護施設まで飽和状態となっているため、取り締まりには消極的にならざるを得なかった」「全てを取り締まるのではなく、遊興施設や売春など感染のリスクが高い業種に従事する外国人を中心に取り締まりを行っている」と説明した。

キム・ヨンジュン記者 , キム・ミンギ記者
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