「3月から工事のペースが速まり、建物があんな高さになった。国境は閉ざしておいて何をしようとしているのか…」
最近中国遼寧省丹東市で出会った中国住民は鴨緑江越しに見える北朝鮮の国境都市・新義州を指してそう語った。川沿いには15階前後の高さとみられるアパート5-6棟の建設が進んでいた。骨組みの工事は既に終わった状態だった。望遠レンズで見ると、幕で隠されてもいないアパートの工事現場で数人の労働者が動いているのが見えた。
北朝鮮は新型コロナウイルス対策で昨年初めから1年半にわたり国境を閉じている。北朝鮮と中国による貿易の70%が通過していた丹東と新義州の間でも鉄道運行が中断され、道路も閉ざされた状態だ。消息筋は「今年4月に任期が切れた北朝鮮の駐中国大使、習近平国家主席が任命した中国の新任駐北朝鮮大使がいずれも平壌に向かえないほど中朝間の往来は不可能な状況だ」と指摘した。海上輸送で肥料など農業に必要な物資が一部北朝鮮に入っているが、台風などの気象災害も重なり、北朝鮮経済は深刻な状況にあるとされる。
そんな状況にもかかわらず、平壌を除けば北朝鮮では珍しい高層アパートが鴨緑江沿いに続々と建っているのだ。別の丹東市民は「(2014年に完成したが使われていない)鴨緑江大橋側にも新しい建物が少なくない。最近数年間に一帯だけで200棟を超える建物が建ったという話もある」と話した。