韓国の国家人権委員会(以下、人権委)は17日、国会で保留されている言論仲裁法改正案について、「憲法で保障している言論の自由を委縮させる恐れがあり、立法について慎重な検討が必要だ」という見解を表明した。人権委はこの意見を朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長に表明することを決めた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)など、国内外の機関や団体が言論仲裁法に対して懸念を明らかにしたのに続き、独立国家機構である人権委も一足遅れで言論仲裁法に批判的な見解を示したものだ。与党・共に民主党は同日、この法律の一部条項を改正した案を「与野党8人協議体」に提示したが、野党・国民の力は「むしろ毒素条項が強化された改悪だ」と反発した。
人権委は同日、「言論仲裁法の一部新設条項は憲法で保障している言論の自由を委縮させる可能性がある」という内容の決定文全文を公開した。人権委は決定文で、「『虚偽・操作報道』の概念や懲罰的損害賠償の成立要件と関連した故意・重過失推定規定の場合の概念が抽象的であり、不明である」「政治的性向や理念とは違う批判的内容を提供するメディアの報道や、犯罪・汚職・企業不正などを調査する調査報道も、懲罰的損害賠償の対象となる可能性を排除できない」とした。
すると、共に民主党は同日、これまでの言論仲裁法改正案の「虚偽・操作報道の定義」という条項を削除すると発表した。共に民主党はこの条項をなくす代わりに、第30条2項(虚偽・操作報道に対する特則)を「裁判所は、メディアなどの『真実でない報道』に基づいて財産上の損害を被った場合、懲罰的損害賠償が可能なようにする」と修正した。これに対して、国民の力の全珠恵(チョン・ジュヘ)議員は「既存の虚偽・操作報道の定義条項を削除し、『真実でない報道』という言葉を入れて、懲罰的損害賠償の対象範囲を大幅に広げた」「小細工であり、改悪だ」と批判した。