国連特別報告者「メディア産業に懲罰的賠償、認めてはならない」

アイリーン・カーン氏「単語1・2語変えても不十分…廃棄が望ましい」

 国連で言論と表現の自由を担当するアイリーン・カーン特別報告者は24日、「言論仲裁法改正案に懲罰的損害賠償制を含んでいることは、言論の自由を深刻に委縮させる結果につながる」「メディア産業に対しては懲罰的賠償を認めてはならない」と述べた。

 カーン氏は同日、オンラインで韓国の記者と懇談会を行った。同氏は「報道機関に対する懲罰的賠償額を損害額の最大3倍に修正しても過度に高い水準だ」と語った。与党・共に民主党は先日、改正案で問題になっていた最大5倍という懲罰的損害賠償制の代案として、「5000万ウォン(約470万円)または損害額の3倍以内のうち、いずれか高い金額」と賠償の範囲を提示した。しかし、カーン氏は「最も深刻な懸念は、虚偽の情報を報道したという理由で比例性の原則に反する不公正な懲罰的賠償をメディアにのみ課すことだ」「過度の賠償は法制化してはならない」と言った。また、「改正案で単語1・2語や周辺の問題を修正しても十分ではない」とも述べた。

■世界競争力ランキング10位は米国、中国20位、韓国23位、日本は?

 カーン氏はさらに、「改正案が通過すれば、韓国を言論の自由のロールモデルとして見ている国々に誤ったメッセージを与える可能性がある」「韓国国内だけでなく、国際社会に与える影響も考慮する必要がある」と語った。また、「韓国の懲罰制を規定したほかの一部の法律と言論仲裁法を同列だと見てはならない」「導入される産業の性格を考慮しなければならないが、メディア産業が対象になれば、民主主義が委縮するかもしれない」と述べた。同氏は、賠償額を報道機関の売上高と連携させることにした規定については、「主なメディアの処罰を高く設定し、言論の自由を委縮させる結果になるだろう」と言った。その上で、「法案処理を急いではならない。慎重に考え直すことが必要な時期だ」「ジャーナリストなどあらゆる関係者の意見を集約し、国際法に合致しているかどうか検討しなければならない」と述べた。

 しかし、共に民主党は27日の国会本会議で改正案を処理するという方針だ。共に民主党の金容民(キム・ヨンミン)議員は24日、与野党8人協議体の会議で、「さまざまな懸念は共に民主党の修正案でかなりの部分、反映された」と主張した。一方、野党・国民の力のチョン・ジュへ議員は「共に民主党の修正案はこれまでの改正案よりむしろ改悪的な性格なので、受け入れられない」と述べた。

キム・ドンハ記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい