【記者手帳】韓国自動車業界、半導体市場の混乱終息後も人材難が課題

【記者手帳】韓国自動車業界、半導体市場の混乱終息後も人材難が課題

 ロイター通信は10月5日、全世界の電気自動車(EV)バッテリー市場の3分の1を占める韓国のバッテリー大手3社で研究・エンジニアリング人材が不足し、EV転換が遅れかねないと報じた。過去5年間でバッテリー市場は2倍以上に成長したが、熟練した専門人材が不足しており、中国、米国のバッテリーメーカーが高賃金を武器に韓国の専門家を引き抜いている。

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 未来カーを開発する韓国自動車業界からは人材不足を訴える悲鳴が以前から上がっている。先月には未来のモビリティーとして挙げられるアーバン・エア・モビリティー(UAM・都市型航空交通)の生態系構築を巡り、現代自動車、ハンファシステム、韓国航空宇宙産業(KAI)が人材確保競争を繰り広げた。航空用パワートレインや飛行体システムなど9分野で責任研究員クラスの人材を探している現代自は昨年も4月と12月に採用を実施した。

 韓国自動車研究院が今年7月に発表した産業動向報告書によると、韓国の未来カー技術人材の需要は年平均5.8%ずつ増えている。2028年には必要な技術人材が8万9069人に達する。2019年現在で米国は25万人、ドイツは13万人の未来カー人材を確保したが、韓国は18年現在で4万2000人にすぎず、韓国自動車産業の競争力低下原因として指摘されている。

 主要先進国は人工知能(AI)ソフトウエアなど未来カー分野の人材育成に巨額を投資している。ホンダは5年間に米国で5万人の人材の再研修を行うと発表。米フォードはプログラマー人材を現在の300人から4000人以上に増やす予定だ。ゼネラルモーターズ(GM)の自動運転子会社クルーズは未来カー人材を現在の40人から2000人まで拡充する計画を立てている。

 外国企業による大規模投資を各国政府の支援が支えている。韓国自動車産業協会(KAMA)の調査によると、主な自動車生産国は研究開発(R&D)投資に対し、10%以上という大幅な税額控除を認めている。フランスは30%、スペインは25-42%、カナダは15%、英国は13%だ。これに対し、韓国はわずか2%にすぎない。

 韓国政府は未来の収入源として自動運転車などを挙げているが、規制が厳しく、貴重な人材も流出している。現在の自動車・自動車部品の性能と基準に関する規則によると、自動運転遠隔駐車の可能距離は韓国国内では最大6メートルだが、米国は距離範囲を定めていない。自動運転の許可地域も韓国では世宗市、光州広域市などの一部産業団地に制限されている。現代自が州全域で走行試験を実施できる米国で自動運転車を開発しているのもそのためだ。

 未来カーの人材が必要だとの指摘は昨年も一昨年もあった。業界からは現場にすぐに投入できる研究開発人材を確保するには少なくとも4-5年の教育が必要とみている。最近市場が混乱している半導体は工場の生産量を増やせばよいが、人材は工場で自由につくることはできない。人材育成は最も基本的な投資だ。

ミン・ソヨン記者

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