二流に転落する韓国の大学…論文数トップ100に中国と日本は49大学、韓国は5大学

アジア大学評価で徐々にランクが下がる韓国

二流に転落する韓国の大学…論文数トップ100に中国と日本は49大学、韓国は5大学

 今年で13回目となる英国クアクアレリ・シモンズ社(QS)による大学ランキングで韓国の大学はその順位が相次いで下がり深刻な結果となった。「トップ20位」以内に入った韓国トップの大学も平均順位が昨年の13.3位から今年は15.6位へと2ランク以上下落し、2012-15年には毎年「アジアのトップ10」に入っていたKAISTとソウル大学は昨年に続き今年も10位以下にランクが下がるなど過去最低となった。教育関係者の間では「国の競争力の核心となる高等教育の競争力低下をこのまま放置すれば、韓国の大学は『アジアの二流』から抜け出せなくなる」と懸念する声が相次いでいる。

「アジア大学ランキング2021」で上位100位にランク入りした大学の数

■研究の質も教育環境も悪化

 これまで韓国の大学は外国人教員の比率、国際的な研究協力など国際化の進展を示す指標でシンガポールや中国など他のアジア諸国に比べて相対的に競争力が低いと指摘されてきた。今年のアジア大学評価で明確になった韓国上位大学の順位下落は「大学教育の核心となる研究の量と質が同時に下がったため」と分析されている。

 たとえば教授がどれだけ競争力の高い研究を行ったかを示す「論文の被引用数」でソウル大学の順位は昨年の48位から今年は63位へと15ランクも下落した。KAISTは論文の量を示す「教員当たりの論文数」で10位から18位、「論文の被引用数」では28位から33位に下落した。

 韓国の大学における劣悪な研究・教育環境も順位下落の原因の一つだ。「教員当たりの学生数」はソウル大学が24位→40位、成均館大学が32位→37位に下落するなど上位の大学で軒並み順位が下がった。博士学位を持つ教員の割合も韓国の上位大学5校のうちKAIST(1位→26位)、成均館大学(1位→148位)、延世大学(72位→150位)の4校は順位が前年に比べて大きく下落した。ソウル市内のある私立大学教授は「13年連続で授業料などが凍結され、影響で大学の財政は徐々に悪化している。そのため教員の空きを兼任や招へい講師で穴埋めする大学が増えているからだ」と説明した。

■財政難に苦しむ大学、資金源を握り締め付ける政府

 韓国の大学の順位が軒並み下がったことについて大学関係者の間からは「ほとんどが私立大学の危機から始まっている」との指摘が多く上がっている。韓国では大学の85%が私立大学だが、13年連続で授業料が凍結され入学金も廃止された影響で私立大学の財政が大きく悪化しているというのだ。財政難に苦しむ各大学は「法的に補償された引き上げ限度(消費者物価上昇率の1.5倍)までは授業料を上げられるようにしてほしい」と訴えているが、これは今も受け入れられていない。

 さらに若者の人口減少で新入生の定員を満たせない私立大学も続出しているが、この現状に政府は何の対策も取れない状況だ。条件を満たせない大学をあぶり出す「大学基本力量診断」を実施してはいるが、これについても「各大学の新入生募集に占める随時募集の割合、授業料引上げの状況、非常勤講師の割合など細かい部分をチェックし大学を締め付けてはいるが、実際に問題のある大学を閉鎖するとか優秀な大学を全面的に後押しするといったことにはつながっていない」として批判の声が相次いでいるのだ。問題のある大学の定員を大幅に減らし、限界状態にある大学は自ら閉鎖を促す法案についても、与党から「問題のある大学への特恵」といった反発の声が上がり国会で審議が進んでいない。

 ソウル大学のイ・ゴンウ名誉教授は「大学に財政支援を行う際、今のように政府が資金源を握って細かく分け与えるのではなく、大学の総長に実質的な権限を与え自由に使えるようにしなければならない」「後からしっかりと評価し、実績がなければ予算を一気に減らすという形で自律性と責任を同時に与えるべきだ。今のように『良いものは良い』という形の分け合い式では競争力のある学問分野も発展できない」と指摘する。大学総長が集まる大学教育協議会は今年7月、政府に対し一定割合を大学に支援する「高等教育財政交付金」の制度を立ち上げることを正式に求めた。これは初等学校(小学校)、中学校、高校の予算と同じ形にするということだ。

 さらに「現実に安住する大学の安易な姿勢が高等教育の危機を招いた」との見方も根強い。教授たちはチャレンジ精神を持ってこれまでにない研究テーマを新たに見出すべきだが、現状は安全な研究ばかりが行われている。また大学側も学科などの仕組みを見直そうとするたびに「学科利己主義」の壁にぶち当たり再編が進まないパターンが繰り返されているという。かつてポステックの総長を務めた金道然(キム・ドヨン)氏は「人工知能の時代を迎えて今は全世界が革新を叫んでいる。韓国も文系・理系にとらわれない融合型人材の必要性が叫ばれてはいるが、大学は学科ごとの枠を今も見直すことができない。これなどは典型的な事例だ」と指摘する。

 中国、シンガポール、台湾などアジアのライバル国では大学が驚くほどのスピードで成果を出しているが、逆に韓国の大学教育はさらに悪化する見通しだ。国際化はもちろん研究の質や教育環境においても韓国は見劣りするが、今後は学界に対する評価や卒業生の評価に至るまで全てが悪化するのも時間の問題ということだ。KAISTの金禎浩(キム・ジョンホ)教授は「現実として今の有力な大統領候補も科学技術や大学教育の革新には一切言及していない」「科学と産業が韓国における唯一の競争力だが、大学の競争力が今のように下落を続ければ、最終的に社会全体で巨額の損失発生につながるだろう」と警告した。

パク・セミ記者

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