物価高騰の韓国、大学街で自営業者と学生が「衝突」

竜仁・明知大学近くのコインカラオケ、1000ウォン3曲から1000ウォン2曲へと「料金引き上げ」
ネットカフェも利用時間を短くして実質料金アップ…学生らが反発、ボイコットの動きまで

 京畿道竜仁市に位置する明知大学(自然キャンパス)や竜仁大学の近所には「駅北地区」という繁華街がある。二つの大学を抱える特殊商圏だが、最近ここのコインカラオケやネットカフェが一斉に料金を1.5-2倍に引き上げるという大幅な値上げを行い、大学生らと対立を引き起こしている。自営業者の側は「コロナ、物価上昇の中で生き残るため」という立場だが、大学生らは「閉鎖商圏の特殊性を利用した事実上の談合」だとして反発している。2年近くコロナに直面して廃業の危機にひんする自営業者と、乏しい懐事情でウィズコロナを迎える大学生の間の衝突だ。

韓国消費者物価の恐ろしい上昇、約9年ぶりに3%台

 「11月から、処仁区にある全てのコインカラオケが価格を引き上げます。従来の1000ウォン(現在のレートで約96円。以下同じ)3曲から2曲に」。4日午後1時、京畿道竜仁市処仁区のあるコインカラオケに、こんな「価格引き上げ」案内文が張ってあった。「ウィズコロナ」の施行が始まった1日から、同区内のコインカラオケは歌の曲数を減らす形で、料金を突如1.5倍に引き上げたのだ。処仁区のおよそ10店舗ほどのコインカラオケが意向を集約し、同時に料金を引き上げたという。これに加わったカラオケボックスの代表イさん(33)は「物価、人件費、電気料金、家賃など上がらないものがなく、やむを得ない」と語った。別のカラオケボックスの代表を務めるソンさん(50)は「50箱で7万ウォン(約6700円)だったマイクカバーも12万ウォン(約1万1600円)になった」としつつ「実際、およそ10年前の時点では2曲で1000ウォンだった。価格競争で過剰に引き下げていた料金をようやく正常化するもの」と語った。

 駅北地区のネットカフェ5カ所も昨年5月から8月にかけて、段階的に料金を2倍ほどに引き上げた。従来は「40分1000ウォン」ほどだったが、これを「50-60分で2000ウォン(約190円)」取るという形で値上げしたのだ。一部の店は、料金を上げる一方、他の店に客が流れるのを防ぐため「一緒に死にたいなら入ってこい。入れば死ぬまで100ウォンで行く!」という垂れ幕を掲げることもあった。料金を上げたネットカフェの代表ナムさん(32)は「今年の売り上げは2019年に比べ70%以上も暴落し、生計のため避けられない選択」と語った。

 大学生や近隣住民はかんかんに怒っている。駅北地区以外の商圏を利用しようと思ったら2キロほど移動しなければならない。処仁区で小学校から中学、高校まで通ったという住民のキム・ウンギさん(23)は「近所に商圏がないことを利用し、『料金を上げてもどうせ来るだろう』と考えて引き上げているみたいで腹が立つ」と語った。明知大学4年生のイ・ウソクさん(25)は「コロナを口実に、昨年はネットカフェ、今月はコインカラオケまで談合した」とし「大学の近所には一人暮らしをしている学生が多く、嫌でも仕方なく利用するほかない」と語った。明知大学のオンラインコミュニティーでも「ボイコットすべき」「軍隊の衛戍(えいじゅ)地域よりひどい」など、不満が相次いでいる。

 明知大学自然キャンパス総学生会のキム・ギヒョン会長は「学生を対象にした割引をやってほしいと商人会に要請したが、『法的問題はない』という答えしか返ってこなかった」とし「平素から学生会と親交があった店も『よその店が知ったら大変なことになる』と拒絶する雰囲気」と語った。最近行われた総学生会の選挙では、遂に「ネットカフェの料金正常化」という公約まで登場した。明知大学の関係者も「状況を認識しており、ひとまず学生らの動きを見つつ対応をどうするか決める計画」と語った。

 こうした対立について、仁荷大学消費者学科の李銀姫(イ・ウンヒ)教授は「料金引き上げは個別的かつ独立的に行われるべきで、もし各店舗が価格引き上げの意見を交換したり、これを決議した文書などが見つかったりしたら、公正取引委員会への通報まで可能な事案」と語った。延世大学経済学科の梁峻模(ヤン・ジュンモ)教授は「上がらない物価がないという状況なので、単純に価格を上げたと批判するのは難しい」としつつ「閉鎖商圏は、販売者と消費者が互いに独占的地位を享受する『双方独占市場』なだけに、自律的に解決案を見いだすことが望ましいと思われる」と語った。

チェ・ジェウ記者

カン・ウリャン記者

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