北京冬季五輪の前に横たわる2つの難題…新型コロナと人権

「ワクチン接種しなければ21日間隔離」
東京五輪時より防疫強化
西側の人権問題議論もプレッシャー

北京冬季五輪の前に横たわる2つの難題…新型コロナと人権

 2022年北京冬季五輪開幕まであと100日となった。2008年に夏季大会を開催している北京は、史上初の夏季五輪・冬季五輪が両方開催される都市となる。

中国、米国製機器をこっそり持ち込みウイグル族の遺伝子情報収集

 中国は今回の五輪を「新型コロナ克服の証拠」として全世界に示そうとしている。昨夏の東京夏季五輪では新型コロナに感染した関係者が400人以上出た。中国は東京大会のように選手団・メディアなどの関係者と一般人の動線を分ける「バブルシステム」で行われる。五輪関係者は中国に入った時から出国するまで、競技場・宿泊先・食堂・交通機関など指定された施設しか利用できない。

 大会組織委員会が25日に公表した公式プレイブック第1版によると、すべての関係者は中国入国の14日前までにワクチン接種を完了していない場合、中国で21日間の隔離措置を受けなければならない。ワクチン接種を事実上、強制したものだ。東京五輪では、選手のワクチン接種は勧告事項だった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、当時の米国人選手たちのワクチン接種率は85.5%だったという。

 中国は新型コロナ検査も強化する。選手を含むすべての関係者は毎日検査を受け、ウイルスを通さない医療用マスクを着用しなければならない。規定違反による懲戒処分も厳しくなっている。警告・承認撤回・資格はく奪・金融制裁などのように懲戒処分を段階別に具体化した。

 中国当局は先月19日に北京で70日ぶりに新型コロナ感染者が出て以降、追加感染者が相次ぎ、今月末に北京で行われる予定だったマラソン大会を延期したほか、北京と他地域を行き来する団体観光も制限した。事実上無観客だった東京大会とは違い、中国は防疫措置の要求を満たす国内の居住者に限って競技観戦を許可する方針を明らかにしている。海外からの観客は受け入れない。

 中国は新疆ウイグル自治区内の少数民族人権侵害という政治問題も解決しなければならない。ナンシー・ペロシ米下院議長は今年5月、「選手たちを尊重して五輪に参加させる代わりに、開会式・閉会式の時にいかなる公式使節団も送ってはならない」と述べ、「外交的ボイコット」を主張した。欧州議会も今年7月、北京五輪のボイコット決議案を議決した。

 しかし、中国の五輪開催にこれといった支障はなさそうだ。国際オリンピック委員会(IOC)が口をつぐんでいるからだ。「IOCはスーパー世界政府ではない」というトーマス・バッハ会長の発言は事実上、「中国の肩を持つ」という意味だと解釈されている。

ソン・ウォンヒョン記者

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