ゴム紐みたいに伸び縮み、中国通関の恣意的な運用

尿素輸出阻止で韓国を揺るがした中国、26日ぶりに契約分だけ出荷へ

 中国政府は10日、韓国企業が契約済みの尿素1万8700トンについて、輸出に必要な手続きを進めると表明した。中国が輸出規制に乗り出してから26日目のことだ。しかし、来週中国から実際に積み出される量は300トンにすぎず、韓国全土を揺るがした尿素水騒動を終息させるには全く足りない。今回の事態をきっかけとして、韓国の政府・企業が「チャイナリスク」に本格的に備えるべきだという指摘が出ている。

「最盛期の中国、衰退期を迎える前の10年が国際秩序にとって最も危険」

 韓国外交部は同日、中国産尿素の輸入手続きを速やかに進めるためにさまざまなルートで中国側と調整した結果、韓国企業が契約済みの分に対する輸出手続きが進められることを確認したと説明した。ただ、韓国が9月に中国から量に比べると24%にすぎない。外交部関係者は「ひとまず車両用の尿素300トンが来週船積みされる予定だ」と語ったが、残りが到着するまでに少なくとも2週間、最長で1カ月以上を要する見通しだ。尿素300トンでは韓国国内のディーゼル車の1日の使用量(900トン)程度の尿素水しか製造できない。

 中国が1万8700トン以外にどれだけ輸出を認めるかは依然として不透明だ。中国税関は10月11日、尿素に対する輸出前検査制度を導入し、15日から実施した。自国内での化学肥料用の在庫確保が目的とみられる。中国当局が規制方針を示して以降、中国の一部尿素メーカーは外国企業との契約を避けているという。外交部関係者は「契約を促している」と述べたが、中国が韓国側の立場をどの程度考慮するのかは未知数だ。

 半導体、資源など全世界でサプライチェーン再編を巡り、米中の衝突が激化し、尿素水騒動のようなチャイナリスクが至る所で起きかねないと懸念されている。米中の覇権争いがいつでも韓国に大きな衝撃をもたらしかねないとの指摘だ。今回の尿素水騒動では、オーストラリアが米国の対中圧力に同調すると、中国は昨年末からオーストラリア産石炭の輸入を中断。それが石炭を原料とする尿素の価格急騰にも影響を及ぼした。消息筋は「米国が中国経済の頼みの綱を断つため、全世界のサプライチェーンを再編し、両陣営の衝突が頻繁になり、尿素水騒動のような事態が相次ぐ可能性がある」と指摘した。

 中国は2010年、東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)紛争当時、日本に対するレアアースの輸出を禁止し、16年には韓国への終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に際し、韓国の観光・文化産業に制裁を加えた。中国は米トランプ政権と貿易戦争を繰り広げ、貿易報復と制裁のための法律、機関を整えた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

北京=パク・スチャン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい