「後手対応・配給制・業界に圧力」…尿素水品薄問題はマスク騒動とそっくり

韓国政府「毎日生産量・出庫量報告せよ」…緊急需給調整措置
9月から中国輸出制限の動きキャッチ
政府、関連業界の報告にも対応せず
「在庫10%を超える時は『買い占め・売り惜しみ』と見なす」
業界「我々を犯罪者扱いするのか」

「後手対応・配給制・業界に圧力」…尿素水品薄問題はマスク騒動とそっくり

 韓国政府が尿素水不足で「緊急需給調整措置」という伝家の宝刀を抜いた11日、尿素水業界では「尿素水問題があらゆる方面に広がるのを防ぐことはできたが、安易に対応して事態を大きくした」との批判が出ている。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官が王毅中国外相に会う2週間前に中国の輸出制限措置が施行されたが、鄭義溶長官は報告すら受けることができていなかったことが確認された。「尿素水業界が今年9月中旬に既に中国の輸出規制の可能性を当局に知らせていたのにもかかわらず、何の対応も取らなかった」という批判もある。遅まきながら事態収拾に乗り出した政府が、尿素水生産・販売業者に毎日の生産量・出庫量を報告するように命じたことに対しても、尿素水業界では「中国の輸出制限の兆候を知らせた時、政府は手をこまねいていたのに、今になって罪のない企業を犯罪者扱いしている」と憤っている。

【写真】韓国軍、備蓄尿素水220トンを民間に放出

■措置施行2週間後まで報告受けていなかった韓国外交長官

 韓国の関税庁に当たる中国の海関総署が尿素輸出制限措置を告示したのは先月11日だった。そして、それから四日後の先月15日に輸出制限に入った。韓国の主務部処(省庁)である外交部と産業通商資源部がこうした内容を把握したのは、六日後の先月21日のことだった。中国現地にある韓国の公館はこの時、外交部や産業部に対し、中国産尿素の輸入に支障が生じる可能性があると報告していた。

 韓国政府は直ちに中国との協議に乗り出すべきだったが、先月29日にイタリア・ローマの主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で王毅外相と略式会談した鄭義溶長官は、尿素問題について何も言わなかった。輸出制限施行から2週間経過した時点だったのにもかかわらず、鄭義溶長官は報告すら受けていなかったためだ。今月11日の国会外交統一委員会に出席した鄭義溶長官は「その前に出国したため、尿素水問題に関する内容の報告を受けることができていない状態だった」と答えた。

 両国外相が会った日、国内では産業部通商交渉本部長が駐韓中国大使に会い、この問題について話し合ったことをめぐり、部処間でかみ合っていなかったという指摘もある。このように政府が尿素水問題を見落としている間に「ゴールデンタイム(問題解決の適期)」はむなしく過ぎていき、今月2日になってやっと政府は関係部処会議を招集した。

 韓国政府は中国の尿素輸出制限の可能性を事前に把握することができたはずだった。今年9月、中国の尿素輸出制限の兆候を把握していた尿素水業界が政府と現地公館に伝達していたが、当局は深刻さをきちんと把握できていなかったことが分かった。ある尿素水業界関係者は「2カ月前に『中国は尿素輸出を阻止するだろう』という話が業界を駆け巡ったので政府と公館に『懸念している』と伝えたが、何の回答もなかった」と話した。通商問題を扱う産業部はもちろん、コントロールタワーである青瓦台(大統領府)も尿素輸出規制の影響力の大きさを認識できず、肥料供給の問題だと誤認していたという。

■「犯罪者扱い」尿素水業界は激怒

 「緊急需給調整措置」で政府の規制を受けるようになった尿素水業界は激怒している様子だ。毎日毎日生産量・出庫量を報告せよという措置に「我々を犯罪者扱いしている」といった声も聞かれる。政府が今回打ち出した「緊急需給調整措置」は、生産・販売業者がこれに違反した場合、3年以下の懲役または1億ウォン(約960万円)以下の罰金を課すことができる超強力措置だ。昨年3月の「マスク不足」時の不織布需給で初めて発動したのに続き、今回が2回目となる。尿素水関連企業の関係者は「この数日間、毎日のように公務員たちが事業所に突然やって来るので、従業員たちのストレスは並大抵ではない」「政府が対応を誤っておきながら、我々のせいにしている」と話した。

 政府は、尿素・尿素水の「買い占め・売り惜しみ」行為禁止を告示した今月8日から、環境部を中心に全国で取り締まりを行っている。昨年の月平均販売量より10%を超えて保管している場合、これを「買い占め」と見なしている。ある業界関係者は「毎年、汚染物質低減装置(SCR)を搭載した車が増えているのに伴い、尿素水の需要も増えている」「昨年より10%多く持っていたら『買い占め・売り惜しみ』だというのは、事前に尿素水を確保している企業を犯罪者扱いするということだ」と言った。

 延世大学のヤン・ジュンモ教授は「尿素水問題に関し、政府は報告も遅れたし、対応も誤った」「今の政府の役割は、輸入業者がより多く輸入できるように規制を解除し、外交チャンネルを通じてこれを支援することだ」と述べた。

チョ・ジェヒ記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 「後手対応・配給制・業界に圧力」…尿素水品薄問題はマスク騒動とそっくり

right

あわせて読みたい