金基正氏「韓国外交、恩返しの観点を超えるべき」、金星煥氏「北朝鮮中心主義から脱却すべき」

ニア財団「次期政権の安全保障政策」セミナー

 韓国与野党の外交・安全保障ブレーンらが15日、民間のシンクタンク「ニア財団」主催の政策セミナーに参加し、次期政権の外交・安全保障政策の方向性について明確な違いを浮き彫りにした。米中の戦略競争が徐々に激しくなる中、政府が変わるたびに両極端を行き来する過去のやり方では国の主権と生存権を守るのは難しいとの点では一致したが、その方法論については歩み寄りは見られなかった。

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 尹炳世(ユン・ビョンセ)元韓国外交部(省に相当)長官は基調講演で「今や米中の戦略競争はそれ以外のあらゆる変数を圧倒し、吸収してしまうブラックホールになりつつある」「競争と衝突の要因が増大する新たな米中関係の中で、韓国として『戦略的立場の調整』が可能な余地が少しずつ小さくなる真実の瞬間が近づいている」との見方を示した。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権で初代国家安保室第2次長を務めた金基正(キム・ギジョン)国家安保戦略研究院長は「米中対立における外交面での圧力が徐々に激しくなるとの見方は(私も)同じだ」としながらも「戦略的な立場の調整余力を見いだす対処法は少し違うかもしれない」と述べた。その上で金院長は「国際政治をいわゆる依頼や感性的な見方による理解、あるいは恩返しの観点を乗り越えたときに徹底した利益中心の判断が可能になるだろう」との考えを示した。韓米同盟中心の外交を訴えてきた野党の見方を間接的に批判したのだ。

 これに対して保守系野党・国民の力から大統領選挙に出馬している尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の陣営に加わっている金星煥(キム・ソンファン)元外交通商部第2次官は「米中関係の中で韓国外交を二者択一の瞬間に追い込む愚を犯すべきでないことには120パーセント同意する」「これまで韓国はあまりにも北朝鮮中心主義にとらわれていたので、ここから抜け出す外交らしい外交を行う必要がある」との考えを示した。現政権と与党による対外政策、外交政策が対北朝鮮政策の従属変数に転落したという問題意識を明確にしたのだ。

 宋旻淳(ソン・ミンスン)元外交通商部長官は「一般的な国際関係は合理性と理性が支配しているが、韓国の外交政策は韓半島を通じて世界を見つめ、その上で進められてきた。今回もまた南北関係を中心に外交の地図を作ればむちゃくちゃになるだろう」「部族間の外交(tribal diplomacy)、あるいは感性が支配する見方では韓国外交を引っ張ることはできない」と指摘した。

 金鍾仁(キム・ジョンイン)元国民の力非常対策委員長は「過去には米国の外交方針にただ従えば心配はなかったが、今は世の中が変わった」「韓国経済が中国と密接につながった状況で、米中関係が穏やかでない方向に進めば、韓国の外交的な対応も一層難しくなるだろう」との見方を示した。

 今回のセミナーは「外交の復活」の出版を記念して開催された。同書はニア財団が大統領選挙を前に外交・安全保障戦略の地図を提供するという趣旨で編集された。ニア財団の鄭徳亀(チョン・ドクク)理事長は「外交・安全保障問題に対処する政府の基本戦略は内政の延長線上で樹立され、大統領の意向に従いながら最終判断が下される傾向が明確だ」「そのため外交の羅針盤が5年ごとに変わり、内政におけるイデオロギーでコーティングされ、外交・安全保障政策に一貫性が失われ国際社会の信頼を失ってきた」と指摘した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

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