韓国の新型コロナ病床待機400人…「重症者用病床で死亡者出なければ入れない状況」

首都圏の新型コロナ病床待機400人超…政府、病院長らとまた会議

 「当病院は今日(18日)現在で新型コロナウイルス重症者用病床23床のうち19床が埋まっています。私たちは重症者用病床のうち3床ほどは本当に急を要する患者のための予備病床として常に空けており、事実上満床だと言ってもいい状況です。今日も『重症者3人の入院受け入れが可能か』という問い合わせがありましたが、とても受け入れられず、妊婦を1人だけやっとのことで受け入れました」

【グラフ】韓国首都圏の重症者用病床の現況

 嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授は18日、仁川にある同病院の状況をこのように伝えた。首都圏の病院で現場診療中のA医師は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック」に「救急治療室の重症の新型コロナ患者が病室を割り振ってもらえず待機している。満床の重症者用病床には、死線をさまよう患者が横たわっていて…」と書き、B医師も「現在、首都圏には使用可能な重症者用病床がない状態」「(重症者用病床で)死亡する人々が出なければ、(ほかの新型コロナ重症者が入れる)病床が空かない状況だ」と言った。一言で言えば、ソウルをはじめとする首都圏の重症者用病床は底を突いた状況だということだ。

■首都圏の病床待機400人超

 このように、医療現場からは緊迫した状況が相次いで伝えられているが、肝心の防疫当局は「今はやや入院が遅れる現象が出ているところだ」として、それほど騒ぐほどではないという反応だ。政府関係者は「(重症者用病床の)割り振りをできるだけ早くして、(病床が空くのを待つ)待機という状況が起こらないようにしている」と話した。このような政府に対して、医療現場では「現場の状況を知らない悠長な発言」という声が上がっている。

 政府統計でも首都圏の病床はいっぱいいっぱいの状況だ。保健福祉部中央事故収拾本部によると、首都圏で病床がなくて1日以上、病床の割り振りを待っている人は、今月1日の「段階的な日常生活回復(ウィズコロナ)」転換時は「0人」だったが、12日に116人と100人を超え、18日午前0時現在では423人にまで増えた。このうち367人は病院へ一刻も早く搬送する必要がある状態で、56人は生活治療センターの空きを待っている。待機期間が丸一日にならない待機者まで入れれば、首都圏だけでも待機者は既に1000人を超えると言われている。

 特に17日には重症者が522人、18日には506人を記録、各病院は「病床不足超非常事態」に陥っている。本紙取材陣が18日、首都圏の主な大病院を取材したところ、「もう限界」という病院がかなりの数あった。ソウル市内のある大病院では、「私たちは『ウィズコロナ』開始から数日もたっていないのに病床がすべて埋まり、使用率100%の状態が続いている」「1床当たりに医師が5-6人必要なので、医師たちはそれこそ全力を注いでいる状況だ」と言った。また、別の病院でも「重症者用病床がたまたま2つ空いて、1-2日以内に埋まっても、驚くような状況ではない」と話した。政府は19日、首都圏22の上級総合病院長たちと緊急会議を開き、迅速な追加病床確保を求める方針だ。

■「その場しのぎ」繰り返す政府

 問題なのは、病床不足が予見されていたのにもかかわらず、準備が不十分だったという点だ。首都圏のある病院の感染内科教授は「昨年12月にあれほど病床不足問題があったのに、各病院側をせっついて重症者用病床を増やしたとか、減らしたとかという『その場しのぎ』ではなく、ほぼ1年が過ぎようとしているのに、根本的な対策が1つもない。(政府が)病院長たちを集めて『助けてください』と言えば、病院長たちが『私たちもいろいろ苦労しているんです』と答えるのを繰り返す会議は何の意味があるのか」と批判した。

 「首都圏の病床状況は急を要するが、『サーキットブレーカー(緊急計画)』を発動する状況ではない」という当局の説明も矛盾していると指摘されている。中央事故収拾本部の孫映レ(ソン・ヨンレ)社会戦略班長は18日、「緊急計画を発動する状況ではない」「全体の流行規模が拡大して重症者が増えているというよりは、脆弱(ぜいじゃく)施設を中心に感染しており、これまでのソーシャルディスタンスなどの防疫措置を強化するのは合っていない」と述べた。高麗大学九老病院のキム・ウジュ教授は「病院には行政命令まで下して『早く病床を確保しろ』と言っておきながら、『まだ緊急措置を考慮する時期ではない』というのは矛盾している」と語った。

 「当局がウィズコロナを施行する際、『一日新規感染者5000人までは持ちこたえられる』と言っていたのに、2000-3000人台の感染者数でも医療システムが持ちこたえられない状況になっていることも理解に苦しむ」と指摘されている。高麗大学医学部のチェ・ジェウク教授は「そもそも重症者用病床がこれほど不足するとは予測できなかったために、こういう事態が起こっている」「ほかの国々のように空き地に陰圧・隔離病床を100床作るなど、『特段の対策』が必要な状況だ」と批判した。

金成謨(キム・ソンモ)記者、イ・ジュンウ記者、キム・テジュ記者

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  • ▲ソウル市中浪区のソウル医療院。写真=2021.11.17.聯合ニュース
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