太宰治『人間失格』、韓国で静かな人気

太宰治『人間失格』、韓国で静かな人気

 罪深い人生を送っていると考える韓国人が増えたからだろうか。作家・太宰治(1909-48)の自伝的小説『人間失格』(1948)が韓国で静かな人気を集めている。今年の初めから先月までに、民音社世界文学全集版の本だけで7万部以上も売れた。これは昨年(2万3000部)より3倍以上も急増した数字で、2004年に同社から出版されて以降、最高の売れ行きでもある。今年の純文学の話題作に挙げられていた、作家・申京淑(シン・ギョンスク)の復帰作『父のところへ行っていた』(およそ5万部)や、ノーベル文学賞の受賞作家カズオ・イシグロの新作『クララとお日さま』(およそ3万部)よりも多く売れた。

 業界からは、「ミステリーだ」という反応が出ている。特別なマーケティングやインフルエンサーの推薦といった外部要因のない、旧刊の善戦だからだ。チョン・ドヨン主演の同タイトルのドラマが9月から10月にかけて放送されはしたが、民音社の関係者は「視聴率は低調で、ドラマの内容も小説とは関連がなく、影響は微々たるものだった」と語った。同書は今年5月、大手書店「教保文庫」の外国小説ベストセラー「トップ5」入りを果たし、23週にわたってランキング内に残り続けている。

 『人間失格』は、自らを「人間、失格」と評する大庭葉蔵の手記3編を語り手が入手して読み進めるという、「額縁式」の構造を持っている。葉蔵が手記に書いた「恥の多い生涯を送ってきました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです」という一節が同作を代表する。人間の偽善と虚飾が理解し難く、人間関係の拙い葉蔵の姿に、最近の若者たちが自分を投影したからだという解釈も登場した。教保文庫でベストセラー担当のキム・ヒョンジョンさんは「『スマイル症候群』(外見上は笑っているが内心では憂鬱〈ゆううつ〉な状態)のように、強要された親切さに対する考察が収められ、人に対する気まずい感覚に触れている内容が口コミで広がり、販売量が増えたようだ」と語った。ネット書店大手のアラジンによると20代女性が購入者の30%を占めていて、最も多い。

 出版評論家のピョ・ジョンフンさんは「一種のグッズのように本を買い、太宰治というスタイルを消費していると見ることもできる」と語った。太宰は足掛け39年の生涯で5回も自殺を試み、最後まで問題ある人生を送った。小説の中の葉蔵は著者自身を投影したキャラクターと解釈されている。

ヤン・ジホ記者

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