「第二の平昌」を期待してたのに…米外交ボイコット、文在寅政権の終戦宣言構想にも影響必至

米国から直接の要求はなし
人権問題で対応に苦慮

 米国が中国北京で開催予定の冬季オリンピックに対する「外交的ボイコット」を正式に発表したことを受け、韓国政府も頭を痛めている。青瓦台(韓国大統領府)と韓国政府はこれまで北京オリンピックを「第二の平昌にしたい」と期待してきた。オリンピックを舞台とする終戦宣言構想も積極的に進めてきた。ところが米国の外交的ボイコットによりこの構想は完全につまずいた。しかも米国と中国は互いに妥協しがたい「価値観」を巡って本格的に対立を深めており、韓国が両国の間であいまいな態度を取り続けることも困難な状況になった。韓国政府の対応を巡っては「たとえ『南北関係』を口実にしたとしても、『人権』という大義名分から顔を背けることはできない」との指摘も相次いでいる。

 韓国外交部(省に相当、以下同じ)は7日、米国の発表と関連して「韓国政府は北京冬季オリンピック開催の成功を支持してきた。今回のオリンピックが東北アジアと世界の平和と繁栄、そして南北関係に寄与することを希望している」とコメントした。青瓦台は「他国(米国)の外交政策上の決定についてとやかく言うことはない」と原則的な内容ばかりを強調した。裏返せばそれだけ頭を痛めているということだ。

 現時点で韓国政府はこれまでの慣例に従い中国側に「スポーツ政策担当の文化体育観光部長官をオリンピック開会式に出席させる」とすでに通知している。終戦宣言の進捗(しんちょく)状況によっては大統領などに格上げする計画だが、近く青瓦台国家安全保障会議(NSC)でこの問題を最初から再検討することにしたという。韓国政府はまず欧州や日本など他国も今回の外交的ボイコットに参加するかどうかも見極め、これらを参考にしたい考えだ。

 米国はこの日、ボイコットの発表に先立ち外交ルートを通じて韓国政府にも一連の内容を事前に伝えてきたが、ボイコットへの参加を直接求めることはなかったという。ある韓国政府筋は「米国も韓国の事情が日本やオーストラリアなどとは違うことを理解しているので、公の場で負担を強いる形にはしたくないだろう」とコメントした。

 ただし今後間接的あるいは遠回しの圧力も予想されている。この日ホワイトハウスがボイコットを発表した際「中国における悲惨な人権侵害、新疆ウイグル自治区での残酷な行為」という言葉を使ったことは、「ボイコットへの不参加は人権侵害の黙認と見なす」というメッセージに他ならない。バイデン大統領が今週開催予定の「民主主義首脳サミット」で友好国にこのような流れでボイコットへの参加を求める可能性も考えられる。韓国政府は今年10月に国連で43カ国が賛成した中国の人権弾圧を非難する声明にも参加しなかったため、今回も米国に追随しなかった場合は大きな負担になりかねない。

 中国はコロナの影響に加え米国の外交的ボイコットまで重なったため、オリンピックの成功に赤信号がともった形だ。そのため韓国を積極的に引き込もうとする動きも示している。中国が先日青瓦台の徐薫(ソ・フン)国家安保室長を天津に招いたのもそのためだ。また中国共産党の楊潔チ政治局委員は韓国の張夏成(チャン・ハソン)駐中大使とも会談し、北京オリンピック支持宣言を行うよう求めた。

 韓国経済社会研究院外交安保センターのシ(しんちょく)所長は「頭が痛いのは確かだが、韓国としてその立ち位置を事前に決めるのではなく、決定の時期を最大限先送りした上で米国の同盟国と友好国がどのような行動をとるか見極める必要がある」と指摘した。

キム・アジン記者

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