文政権が自画自賛していたK防疫はなかった…大ピンチを招いた5つの原因(上)

「ウィズコロナ」措置中止…最大の危機
K防疫はどこでつまずいたのか

文政権が自画自賛していたK防疫はなかった…大ピンチを招いた5つの原因(上)

 ある人は「一時的な試練だ」と言い、ある人は「失敗だ」と言う。現政権が実績として掲げた「K防疫」のことだ。先月1日から始まった「段階的な日常生活の回復(ウィズコロナ)」措置は重症者激増や医療体制ひっ迫で結局、44日目にしてストップした。今月18日から防疫対策措置が再開されたが感染者はなかなか減らず、重症者は1000人を超えた。事実上、医療体制がひっ迫して新型コロナ患者に病床が割り振られず、妊婦が救急車内で出産する事態にまでなっている。

【図】K防疫2年、韓国政府の相次ぐ失策

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今月21日、現在の状況について、「試練が成功を作る」「しばらく止まっている今この時間を、今後前進させるための機会の時間にするだろう」と語った。K防疫は失敗したのではなく、一時的な試練に見舞われているだけだという意味だ。だが、専門家らの評価は冷ややかだ。「今の危機は政府が自慢していた『K防疫』の失敗が積み重なった結果だ」と口をそろえる。

 医療界をはじめとする各界の専門家による現政権の防疫への批判をまとめた本『K防疫はない』の代表著者イ・ヒョンギ・ソウル大学教授(臨床薬理学)は「政府が自画自賛するK防疫は明らかに実体がない」「K防疫があるとするなら、それは政府の功労ではなく国民の犠牲によるものだ」と述べた。かつて「防疫失敗」と嘲笑(ちょうしょう)された日本は最近、新型コロナ感染状況が急速に好転しており、「J防疫を再評価すべきだ」という声も上がっている。いったいK防疫はどこからおかしくなっていったのだろうか。

(1)遅かった入国制限…遅きに失した「台湾モデル」

 政府・与党は、欧米など西側先進国よりも感染者や死亡者数が少ないことから「K防疫は成功だ」と言ってきた。「検査(Test)-追跡(Trace)-治療(Treat)」という流れで行われた「3T」戦略により感染者を早期発見して隔離・治療したため、感染者数と死亡者数を大幅に減らせたということだ。だが、専門家らは「K防疫は韓国と条件が似ている台湾、ニュージーランド、オーストラリアなどと成果を比較するのが正しい」と話す。なぜそうなのだろうか。韓国は地理的に見ると半島国家だが、南北分断という状況を考えれば事実上の島国だ。航空便による入国と検疫さえ厳格に管理すれば、海外からの感染症流入を断ち切るのが容易だという点で、欧州諸国とは違う。

 韓国政府はこうした利点を「生かそう」と言った医療界の助言を無視した。入国禁止は外交的・経済的問題を招きかねないという理由からだった。しかし、台湾は中国に対する経済依存度が高いのにもかかわらず昨年1月30日に中国・武漢市民の全面入国禁止措置を下し、2月初めには中国からの入国を全面的に禁止した。早期に新型コロナ流入を防いで日常生活と経済活動が正常な状態を保ち、そのおかげで経済成長が加速化している。大韓ワクチン学会のマ・サンヒョク副会長は「流行初期に入国制限措置を取っていたら台湾のような『新型コロナ・ゼロ』モデルを維持できていた可能性もあったが、政府はそれを自ら放棄したのだ」と話す。

 韓国防疫当局は、入国禁止や自宅隔離の代わりに、入国者に対する体温測定や、モバイル・アプリを通じて疑わしい症状があれば自己申告させるという検疫措置を取った。当時は新型コロナが無症状でも感染する可能があるという明確な情報はなく、こうしたお粗末な検疫措置が行われたのだ。高麗大学予防医学科のチェ・ジェウク教授は「流行初期に入国制限が重要だった最大の理由は、新型コロナに関する情報を把握する時間が必要だったからだ」と語った。

(2)危機対応パートナーである医療界との内紛を自ら招く

 昨年初めに大邱市・慶尚北道から流行が始まって以降、専門家の間では「新型コロナ長期化に備えなければならない」という声が上がっていた。すると、政府は突然、公立医科大学新設や医師定員拡大などを骨子とした公共医療従事者拡大政策を発表した。最近、重症者用病床や医療従事者が不足していることを考えれば一理あるように聞こえるが、実情は違う。政府の言葉通り、公立医科大学を新設し、医師となる人材を新たに輩出するには少なくとも6-10年かかるからだ。専門家らは「当面の新型コロナ危機に対応できる政策でもなく、医療界が長年反対している事案であることもよく分かっていながら、新型コロナを口実に政治的宿願である事業を押し通したものだ」と批判した。「戦争中に内紛を起こしたのも同然」という声も聞こえてくる。医療界とケンカするのではなく、民間医療資源をどのように動員・活用するかを医療界と協議すべきだったということだ。

 だが、両者の確執は「医療界ストライキ」という事態にまで至った。公立医科大学の学生選抜をめぐって公平性をめぐる論議が起き、昨年8月中旬から流行第2波が始まると、政府はいつの間にか政策推進をストップさせた。同年夏、政府と医療界が衝突している間に欧州の先進国や日本などは海外の製薬会社と新型コロナワクチン購入契約を結んでいた。

ペ・ジュンヨン記者

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