大庄洞疑惑初報道の翌日に携帯電話替えた3人、組織的証拠隠滅の疑い

 昨年9月に「大庄洞事業優遇疑惑」に対する検察の捜査が本格化する直前、民主党の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)氏の最側近2人が捜査対象者であるユ・ドンギュ元城南都市開発公社企画本部長と14回にわたり通話していたことが判明し、法律専門家は4日、「集団的な証拠隠滅の状況だ」と指摘した。

【図】ユ・ドンギュ氏家宅捜索(昨年9月29日)を控えユ氏と通話した主要人物

 当時ユ氏と集中的に通話した李候補の側近はチョン・ジンサン民主党選対秘書室副室長、キム・ヨン選対組織副本部長だった。李候補は昨年10月、ユ・ドンギュ氏が「側近」であることを否定し、「側近と言えるのはチョン・ジンサン、キム・ヨンぐらいではないか」と発言していた。

 これら人物は大庄洞事業と直接、間接的に関わっている。チョン副室長は2015年、城南市政策室長として大庄洞事業関連の文書を決裁した人物だ。当時の最終決裁権者は城南市長を務めていた李候補だった。キム副本部長は当時、城南市議であり、大庄洞事業関係者の間から「大庄洞事業の推進にも主な役割を果たした」との指摘もあった。ユ氏は城南都市開発公社企画本部長として、大庄洞事業の実務を統括し、火天大有など民間事業者が数千億ウォンの利益を上げられるように事業を設計した。

 法律専門家は「当時ユ氏が検察でどんな陳述をするかによって、チョン副室長、キム副本部長はもちろん、李候補に打撃が及びかねない状況で、3人が集中的に通話したとみられる」と述べた。チョン副室長は8回の通話のうち7回を自分からかけていた。

 また、ユ氏は検察の家宅捜索を受ける半月前の昨年9月14日、新しい携帯電話を契約した。この携帯電話には約30人の連絡先だけが記録されていたという。うち、崔在卿(チェ・ジェギョン)元青瓦台民情首席秘書官、パク・クァンチョン元青瓦台行政官ともそれぞれ2-3回通話していたとされる。2人はそれぞれ「法律相談」「メディア対応の相談」に応じたとの立場だ。これについて、検察関係者は「最初から捜査対策用に携帯電話を替えたようだ」と指摘した。ユ氏だけでなく、火天大有の大株主、キム・マンベ氏、天火同人4号のオーナー、ナム・ウク氏も新しい携帯電話を契約していた。前日の9月13日、本紙は大庄洞疑惑を最初に報じた。3人が携帯電話を替えた当日、李在明候補は国会で緊急記者会見を開き、「大庄洞開発は民間開発優遇事業を防ぎ、5503億ウォン(約534億円)を市民の利益として回収した模範的公益事業だ」と述べ、疑惑に真っ向から反論した。

 キム副本部長はユ氏との通話に関する発言内容を変えている。昨年11月に「ユ元本部長と通話した事実はあるか」との本紙の質問に「事実ではない」と答えて否定した。ところが、ユ氏と6回通話していたとする解析結果が報じられると、キム副本部長は「火天大有の疑惑が指摘された当時、当事者(ユ氏)と通話するのは極めて正常なことだ」と説明を変えた。チョン副室長は昨年11月、ユ氏が携帯電話を窓の外に投げる直前の最後の通話相手だと報じられると、「特定個人に対する中傷」だとし、「ユ元本部長に過ちがあるならば隠さないことと、忠実に捜査に臨むことをお願いした」と主張した。今回はそれ以外に7回通話していたことが新たに判明した。

 ソウル中央地検が捜査着手から98日目となる4日までに起訴したのはユ・ドンギュ、キム・マンベ、ナム・ウク氏ら5人だ。許認可権を握っていた城南市の関係者は起訴されていない。検察周辺からは「一方では捜査直前にユ氏に行われた『懐柔』『圧迫』が通用し、また一方では『お手盛り捜査』の結果だ」とする分析が聞かれる。一線検事も「ユ氏と集中的に接触した李候補の最側近をこれまで取り調べなかったのは納得しにくい」と話した。

 捜査班が昨年9月29日、ユ氏の携帯電話を押収できなかったことは今も批判にさらされている。当時家宅捜索に当たった捜査員はユ氏がチョン副室長と通話した直後、ユ氏の自宅に立ち入ったが、その間にユ氏は携帯電話を窓の外に捨てた。その際、周辺を捜索することなく手ぶらで帰ってきた捜査班は「ユ氏が携帯電話を投げた」と報じられると、「確認の結果、窓の外に投げられてはいない」と主張した。しかし、昨年10月、警察が捜索開始の翌日、携帯電話を拾っていった人物の画像を特定し、検察の説明が虚偽だったことが明るみに出た。

表泰俊(ピョ・テジュン)記者

ユ・ジョンホン記者

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲2021年9月29日、身元不明の人物が大庄洞事件で起訴されたユ・ドンギュ元城南都市開発公社企画本部長の携帯電話を拾っている。/TV朝鮮
  • 大庄洞疑惑初報道の翌日に携帯電話替えた3人、組織的証拠隠滅の疑い

right

あわせて読みたい