【コラム】ウクライナ情勢を注視する中国

 ウクライナの「運命の1週間」が始まる。10日にスイスのジュネーブで米国とロシア、12日にベルギーのブリュッセルでロシアとNATO(北大西洋条約機構)、13日にオーストリアのウィーンでロシアと欧州安全保障協力機構(OSCE)による交渉が立て続けに行われる。ロシアがウクライナとの国境周辺に10万人規模の大軍を配備し、撤収の条件として自国の「安全の保証」を求めたことによるものだ。しかし外交的見通しは決して明るくない。「安全の保証はただの口実」との見方も聞こえてくる。その理由は簡単だ。ロシアが最初に交渉の大義名分として掲げた「自国の安全保障上の脅威」はそれ自体がこじつけだからだ。

 韓国の状況に照らして考えてみれば簡単に理解できる。ロシアは「ウクライナのNATO加盟はロシアの安全保障にとって脅威であり容認できない」と主張している。NATOのミサイルやミサイル迎撃システムがロシアの領土近くに配備されるためだという。中国はすでに在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を理由に稚拙な経済報復まで行った。しかしこれは全世界に直接長距離ミサイルを向け、今や極超音速ミサイルのようなより強力な安全保障上の手段を持つ核保有国が言うべきことではない。しかも軍事同盟は「強大国により非核化された周辺国」が自国を守るために選択できるほぼ唯一の手段だ。これについて「自国の安全保障上の脅威になるのでやるな」と主張するのは「ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫)」の厚かましい態度という以前に、最初から周辺国の主権を無視しているのだ。

 しかしロシアの主張がたとえこじつけにすぎないとしても、米国と欧州は交渉テーブルに着くことにした。ウクライナを人質に戦争すると脅迫しているためこれに応じる以外にない。「非常に厳しい経済制裁も辞さない」と脅迫しても、ロシアは「欧州向けの天然ガスを断ち切る」と逆制裁をちらつかせ全く動じない。今後ロシアは旧ソ連崩壊で失った「地域覇権」の復活という本音を出してくるだろう。欧州の外交関係者の間では「ウクライナの親ロシア地域(ドンバス)の分離・独立とロシアによるベラルーシ併合の黙認などが裏で取引されるかもしれない」との見方が浮上している。当事者のウクライナの意向は全く考慮されない状態での話だ。

 これらは決して人ごとではない。まず中国が今回の事態を注視している。ロシアが「米国と欧州の扱い方」を教えているからだ。中国も圧倒的な軍事力と経済力により19世紀まで享受してきた「東アジアにおける覇権国の地位」を取り戻したいと考えている。ウクライナで欧米諸国の「譲歩」が現実となった場合、中国がロシアと同じ行動を取らないとの保障はない。今後中国の空母や原子力潜水艦が西海に結集し、武力をちらつかせてくるかもしれない。その際に中国は韓米同盟の解体あるいは韓国による北朝鮮の吸収統一反対、台湾併合などを要求として掲げてくるだろう。もしこれを解決するための外交交渉が行われた場合、その話し合いにおそらく韓国は入れないだろう。

パリ=チョン・チョルファン特派員

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