豊臣秀吉が天皇の座を欲しなかった理由とは

【新刊】今谷明著、イ・グンウ訳『武家と天皇』(AK刊)

 15-16世紀の戦国時代の混乱を収拾して覇権を確立した織田信長と、その後を継いだ豊臣秀吉は、なぜ自ら天皇の座に上らなかったのか。信長は反対派と和平を維持し、自らの権威を打ち立てる上で天皇を利用し、秀吉は頂点に常に天皇が座している体制を構想した。

 14世紀に大きく傷ついた天皇の権威が、戦国の分裂期を経てさまざまな勢力の求心点として復活したことが理由だった。日本中世史の専門家である著者は「大名らが天皇を超越者と見なしていたからであって、天皇自身の力によるものではなかった」と語る。その後、天皇は江戸時代に再び政治的影響力が制限されたが、その一方で宗教的権威は高まることになった-と解釈している。

 本書は、1500年にわたり血統が続く天皇家の長期持続の秘訣(ひけつ)を暴いている。天皇と、貴族の組織である公家、そして将軍と武士の組織である武家が併存する日本特有の政治制度はなぜ長続きしたのか。武家側から見れば、天皇とは将軍の任命や権威の授与などで無形の権威を与える存在であって、結局は政治システム内に組み込むしかない、必要不可欠な補完物だったのだ。396ページ、1万3800ウォン(約1320円)

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者

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