文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中東を歴訪した際には最後まで契約に至らなかった韓国製自走砲「K9」のエジプト輸出が実現した。契約額は2兆ウォン(約1900億円)以上で、K9自走砲の輸出としては過去最高額となる。
韓国防衛事業庁は今月1日(現地時間)、エジプト国防省と両国の主要な関係者が出席する中、現地の砲兵会館でK9自走砲の輸出契約を締結した。ハンファ・ディフェンスが明らかにした。今回の輸出はアジア・欧州・オセアニア地域に続きアフリカ向けとしては初めてとなる。エジプトは韓国を含むK9自走砲を運用する9番目の国となった。K9は全世界の自走砲市場でほぼ半分を占め、韓国陸軍を含め世界で1700門以上が運用中だ。最大射程距離は40キロで1分間に6発撃つことができる。最高速度は時速67キロだ。輸出先となった国が8カ国となったことで、中東、欧州、インド向けなどでも追加の輸出が期待されている。
韓国防衛事業庁によると、今回の輸出はエジプト国防省と10年以上にわたる長期の交渉を経て契約に至ったという。青瓦台(韓国大統領府)国家安保室と防衛事業庁を「コントロールタワー」とし、政府横断の協力で輸出を積極的に後押ししたことも大きく功を奏したとされている。防衛事業庁のカン・ウンホ庁長は昨年秋から5回にわたりエジプトを訪問してセールスを続けてきた。
先月19日から21日まで文在寅(ムン・ジェイン)大統領はエジプトを訪問したが、この期間に契約は成就せず、一部からは「K9の輸出交渉は長期化するのでは」という懸念の声もあった。しかしエジプト側の無理な価格引き下げ要求は受け入れず、その一方で韓国輸出入銀行による購入資金融資など一部の要請を受け入れたことから実現に至ったという。エジプトが輸出入銀行から契約金の80%の融資を受け、残り20%ほどだけを現金で支払う条件だ。青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官はこの日、K9のエジプト向け輸出成就について「『手ぶらで帰国した』との批判も甘受するとした文大統領の戦略が功を奏した」とコメントした。無理して輸出成就に執着しなかったため、韓国企業が不利な条件を甘受する必要がなかったということだ。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者