中国政府「韓国メディア・政治家が反中感情あおっている」

駐韓中国大使館、異例の見解文発表

 駐韓中国大使館は9日、北京冬季五輪の偏向判定疑惑について、「一部の韓国メディアや政治家たちは中国政府と北京五輪全体を批判し、反中感情をあおっている」と述べた。今回の五輪のショートトラック競技中、韓国の2選手を失格させた先日の判定をめぐり、韓国国内で「開催国である中国寄りの判定で五輪憲章の精神が損なわれた」という声が上がるや、これを一部の扇動によるものだと言ったのだ。中国寄りの判定をめぐっては、韓国だけでなく日本や欧州などすべての関連国が問題提起している。

 駐韓中国大使館の広報担当者は同日の見解文で、韓国の抗議の動きに「厳重なる憂慮を表し、厳正なる見解を明らかにせざるを得ない」と述べた。広報担当者は「この問題は本来、技術的な問題なので、専門的で権威ある機関で判断しなければならない」「しかし、一部の韓国メディアや政治家たちは中国政府と北京五輪全体を批判し、反中感情まであおり、両国の国民感情を悪化させ、中国のインターネット上での反撃を招いた」と述べた。そして、「これに対して、我々はやむを得ず厳重なる憂慮を表し、厳正なる見解を明らかにせざるを得ない」と言った。「憂慮」や「厳正なる見解」は強い抗議・警告の外交的表現だ。

 その一方で、「中国政府は決して競技結果に影響を与えたり干渉したりしない」「韓国の個々のメディアと政治家たちが『冬季五輪には黒幕がいる』と憶測し、『中国政府と体育部門は反省しなければならない』と勝手に語ることは無責任な言動で、我々はこれを絶対に受け入れられない」と述べた。広報担当者は「北京冬季五輪のスケート種目には超高速カメラなど先進技術が動員され、英国人審判長ピーター・ワース氏が平昌冬季五輪をはじめ3回五輪に携わっていることなどを述べた上で、「冬季五輪は国際スポーツ大会だ。各競技の審判は国際オリンピック委員会(IOC)と国際スポーツ連盟が選び、どの国や政府も干渉できないという点を強調したい」とした上で、「競技にはすべて勝敗がある。我々は韓国の人々の心情を理解している」「中国は両国関係と両国国民の友好的な感情を促進するため、積極的に努力を続ける」とも述べた。駐韓中国大使館はこの前日にも見解文を出し、「東北工程」(中国による韓国史の書き換え作業)だと騒動になった五輪開会式の「韓服問題」について、「一部メディアの憶測と非難だ」と言った。外交関係者の間では、駐韓中国大使館が韓国の政治家の発言や世論を公の場で批判したことについて、「内政干渉で越権行為だ」と指摘する声が上がっている。

 一方、愛国主義傾向の強い環球時報など中国の一部メディアでは、韓国がネット上で中国選手やコーチ陣を攻撃しているという趣旨の記事を掲載した。環球時報のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の国際評論関連アカウント「補壹刀」は「多くの韓国人がショートトラックのペナルティー規定を知らない」「韓国は長い間、中国と日本という二つの強国の陰にいて自然と生まれた劣等感のため、判定を『中国寄りで韓国を無視した不公平なものだ』と考えている」と主張した。

北京=パク・スチャン特派員、梁昇植(ヤン・スンシク)記者

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  • ▲9日午前、ソウル・明洞にある駐韓中国大使館前では、反中集会が行われていた。写真=オ・ジョンチャン記者

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