先端新技術で武装したスタートアップ企業(ベンチャー企業)が税務・不動産など各種の伝統事業分野へと領域を拡大する中、スタートアップ企業と既存の事業者間の対立が激化している。これまで対立の核心が「なぜスタートアップ企業が中間に割り込んで企業紹介料・広告手数料を取り、市場秩序を害するのか」というものだったとすると、最近ではこれに加えて「人工知能(AI)が伝統事業者の役割を代替するのは違法なのか、違法でないのか」という論争まで登場した。スタートアップ業界では「既存の事業者らが、自分たちの既得権を守るため革新を妨害している」と主張するが、逆に各種職能団体は「スタートアップ企業の無資格仲介は最終的に消費者に被害をもたらすだろう」と反発している。
■AIにまで火の粉が飛んだ領域争い
AI技術ベースの税務プラットフォーム「サムチョムサム」を営んでいる「Jobis & Villains」は最近、居ても立ってもいられない状態だ。韓国税務士会と韓国税務士考試会が同社を「税務士法違反」の疑いで告発し、捜査を受けているからだ。警察による捜査の結果は2月初めごろに出るはずだという。
「サムチョムサム」はAIのアルゴリズムを利用して、一般人ではやり難い税務申告業務を処理し、税金の還付まで受けられるサービスだ。配達・宅配業などプラットフォーム従事者が増えたことで税務申告が爆発的に増え、「サムチョムサム」がここに入り込んで大当たりした。累積加入者数は500万人を超える。すると税務士(税理士)業界が強く反発した。同社が「一部の税務士の名義を借りて違法に税務代理業を行い、手数料を取った」として、警察に告発も行った。
問題は、「人」ではないAIを通して一般人が税務申告をするサービスが、果たして違法なのかという点だ。同社は「従来の国税庁のシステムに合わせてAIが一般市民に代わって行っただけであって、これがなぜ問題なのか」という立場だ。逆に税務士業界は「AIを運営する無資格者の税務代理行為は納税者の負担を重くするリスクがある」と真っ向から反発している。スタートアップ業界の関係者は「司法当局がこの事件をどう処理するかによって、他のAIベースのスタートアップ事業も大きな影響を受けることは避けられない」と語った。